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クリスマス 12月25日

クリスマスは、米国民のほとんどが祝う楽しい祝日である。その起源はキリスト教であるが、今日クリスマスは、さまざまな信仰を持つ人たちがさまざまな形で祝うホリデー・シーズンとなっている。クリスマスの言い伝えは聖書から来ている。それによると、羊飼いたちの前に天使が現れ、ベツレヘムのうまやでマリアとヨセフに救世主となる子どもが生まれたと告げた。そして、東方の三賢者(マギ)が不思議な星に導かれて、その赤子イエスのもとにやってきた。賢者たちは生まれたばかりの赤子に敬意を表し、黄金、乳香、そして没薬(もつやく)を贈った。3人の賢者がこの赤子の誕生を歓迎して贈り物をしたことから、クリスマスにはプレゼントをする習慣ができた。

2010年度のナショナルクリスマスツリー。後方にホワイトハウスが見える。 (Official White House Photo by Lawrence Jackson)

2010年度のナショナルクリスマスツリー。後方にホワイトハウスが見える。 (Official White House Photo by Lawrence Jackson)

12月24日のクリスマスイブには、多くの人たちが教会で夜の礼拝に出席する。これは真夜中に行われることも多い。礼拝の中心となるのは、イエス生誕の場面の人形と生誕の物語、そしてクリスマスの精神についてである。クリスマスイブの礼拝では、クリスマス・キャロルを歌うことも多い。クリスマスの日の朝は、礼拝に出席する家族もあるが、多くの家では自宅でプレゼントを開けたりクリスマス料理を食べたりして過ごす。友人や隣人の家を訪ねる人たちもいる。

家族が全米各地に散らばっている家庭も多いため、クリスマスは移動の時期でもある。クリスマスに実家へ帰ることは最も大事な伝統行事のひとつであるため、クリスマス前の何日間かは、1年のうちで最も混雑する。空港、鉄道の駅、そしてバス乗り場は、家族と共に休暇を過ごそうとする帰省客でいっぱいである。家に帰れば、普段はほとんど会うことのないいとこ、おじ、おばなどの身内が集まっている。家族中でお祝いの準備を手伝うが、その大きな部分を占めるのが、たくさんの料理の準備である。クリスマス・ディナーは、感謝祭の食卓と似ており、七面鳥またはハム、クランベリーソース、ポテト、パイなどが並ぶ。クリスマスのお祝いには、スパイシーなフルーツケーキやオーブンで焼いたばかりのクッキーなどのデザートが欠かせない。ホリデー・シーズンのパーティーや集まりでよく出される飲物に、エッグノッグがある。これは泡立てた卵にクリーム、ミルク、砂糖、スパイス、そして場合によってはブランデーかラムを加えた飲物である。多くの家では、家族や来客のためにエッグノッグとココアをたっぷり用意する。

クリスマスの伝統とシンボル

装飾

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クリスマス・ディナー

クリスマスに向けて、多くの家庭では家に色とりどりの電灯を付けたり、ドアに常緑樹の枝で作ったリースをかけたりして、クリスマスの飾り付けをする。家の中では、鮮やかな赤のポインセチアの鉢植えを飾ることも多い。たいていの家ではクリスマスツリーを飾る。地域によっては、クリスマスツリー農園へ行って自分でツリーを選んで切ってくることもできる。しかし、たいていの人たちは、街角にできるクリスマスツリー売り場やショッピングセンターで、すでに切ってあるツリーを買う。クリスマスツリーは自宅のリビングルームに立て、ライトや飾り、ピカピカ光るモールなどを付け、ツリーのてっぺんには星または天使の飾りを付ける。そして、ツリーの下には家族や「サンタ」からの贈り物を置く。

サンタクロース

サンタクロースの起源は、古代スカンジナビアと紀元前の神話で贈り物に関係のある登場人物にさかのぼる。古代スカンジナビアの神話の神オーディンは、冬になると魔法の馬に乗って空を飛び、人々にごほうびの贈り物を与えた。またスカンジナビアとその他のヨーロッパ諸国では、ファーザー・クリスマス(またはセント・ニコラス)が、夜の間に家々を訪れて子どもたちにプレゼントを残し、1年で最も寒い時期に幸せを運んでくると言われた。セント・ニコラスの伝説は、紀元300年代に実在し、貧しい家庭に金銭を与えたという神父セント・ニコラス(聖ニコラス)の話がもとになっているようである。キリスト教徒の間ではセント・ニコラスが贈り物のシンボルとなり、これが後に宗教色のないファーザー・クリスマスとなった。ファーザー・クリスマスは、赤い外套と長い白ひげの親切な男性として描かれた。移民たちが米国にファーザー・クリスマスの伝説をもたらし、オランダ語でファーザー・クリスマスを意味する「シンター・クラース」が後に「サンタクロース」となった。サンタクロースは米国で具体的な形となり、赤い頬と輝く目を持つ陽気な老紳士として描かれるようになった。米国の子どもたちは、サンタクロースはサンタの奥さんクロース夫人や助手の小人たちと共に北極に住んでいる、と信じている。その物語によると、サンタは1年を通じて世界中の子どもたちの名前をリストにし、良い子だったか悪い子だったかを記録する。そして良い子には何をプレゼントするか決めて、小人たちがプレゼントを作り、包装するのを監督する。

(© AP Images)

(© AP Images)

サンタクロースは、世界中の大勢の子どもたちがクリスマスに欲しいものを手紙に書いて北極へ送ってくるのを見て、どんなおもちゃをプレゼントするかを決める、と言われている。サンタクロースは、子どもたちのために全米各地のショッピングモールにも出現する。子どもたちはサンタのひざの上に座って、クリスマスに何が欲しいかをサンタに伝える。もちろんそのそばでは、親が耳をそば立てて聞いているに違いない。

12月24日のクリスマスイブに、サンタは8頭のトナカイが引くそりにプレゼントを積み込み、空を飛んで世界中の子どもたちにプレゼントを届けて回る。ただし、それは1年間良い子だった子どもたちだけである。クリスマスの朝、子どもたちは目が覚めるのを待ちかねたように、サンタがクリスマスツリーの下に何を置いていってくれたかを見にいく。多くの家庭では、クリスマスイブに子どもたちがサンタのためのおやつにミルクとクッキーを用意しておく。朝になるとおやつがなくなっているので、子どもたちはサンタが来たことを知る。サンタクロースは私たちの想像の中だけにいるが、サンタクロースもセント・ニコラスもファーザー・クリスマスも皆、分け与えるクリスマスの精神を表わすものである。

贈り物

(© AP Images)

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贈り物の交換はクリスマスの主な習慣のひとつとなっている。人々はプレゼントを買ったり作ったりして、いろいろな人たちに贈る。学校で子どもたちが両親や祖父母のためのプレゼントを作ることも多い。プレゼントはきれいに包んでクリスマスツリーの下に置き、クリスマスの朝に開ける。クリスマスの日には、待ち切れなくて夜明けには目を覚まし、居間をそっとのぞく子どもたちもいる。子どもたちは朝食を食べ終えてプレゼントを開けるのが待ち遠しくて仕方がない。

最近では、クリスマスが特に大都市では「商業化」されすぎているという不満もよく聞かれる。商店主は売り上げ増を目指して、早ければ10月にはクリスマス用の宣伝や装飾を始める。メーカーや小売店の広告がマスコミにあふれるため、子どもたちのサンタクロースへの要求が大きくなり、子どものおもちゃも、より複雑で高価なものになっている。値段の高い電気製品やスポーツ用品を欲しがる子どもたちも多い。一方で大人も、より大型の高価な製品のプレゼントを求める。クリスマスの起源とその精神が忘れ去られてしまったと考える人たちもいる。

マスコミは毎年、そうしたクリスマスの当初の精神を思い出させるような心温まるニュースを報道する。ホームレスの人々や空腹な人たちのためのシェルターでは、支援金や贈り物の寄付を募る。救世軍のような団体では、メンバーがサンタクロースの衣装を着て街頭に立ち、食料調達のための募金活動をする。市の警察などの組織が率先して行う「トーイズ・フォー・トッツ(子どもたちにおもちゃを)」運動では、市民が恵まれない子どもたちのために新しいおもちゃを寄付する。また企業で、特定の慈善事業や困っている家庭のために社員が募金を行うこともある。こうした活動はいずれも、ホリデーシーズンに、与えられるより与えることの重要性を強調するものである。

クリスマスの長靴下

(© AP Images)

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昔、クリスマスには子どもたちは自分の長靴下またはソックスを暖炉の棚につるした。そうしておくと、サンタが煙突から入ってきて、良い子のソックスにはキャンディーやプレゼントを入れてくれるが、悪い子のソックスには石炭の塊を入れる、と言われた。靴下をつるすという習慣は今も残っているが、今日ではたいてい大きなソックスの形をした布製のバッグが使われる。靴下はクリスマスの色の赤と緑を使ったデザインで、持ち主の名前が入っていることも多い。子どもからお年寄りまで家族全員がそれぞれの靴下を持っている家庭もあれば、子どもたちだけが靴下をつるす家庭もある。クリスマスの朝、皆がわくわくしながら靴下を開けると、クリスマス気分を高めてくれる小さなプレゼントがいくつも入っている。

クリスマスカード

クリスマスのもうひとつの大事な習慣は、季節のあいさつとしてクリスマスカードを交換することである。カードには、宗教的なものも宗教色のないものもあり、中にはユーモラスなものもある。その1年の家族の動向を伝える手紙や写真の入ったカードもある。米国では12月の1カ月間を通じて友人、家族、同僚、そして仕事関係の人にもカードを送る。クリスマスカードには、新年のあいさつも兼ねて「メリークリスマス・アンド・ハッピー・ニューイヤー」と書かれていることもある。今日では、あらゆる宗教の人たちに送れるように、「ハッピー・ホリデーズ」あるいは「シーズンズ・グリーティングズ(季節のごあいさつ)」とだけ書かれたカードを使う人たちも多い。

クリスマスの娯楽

多くの家庭では、歌、詩、物語、そしてパフォーマンスがクリスマス・シーズンの恒例の娯楽の一部となっている。クリスマスの有名な詩のひとつに、クレメント・ムーアが1823年に書いた「The Night Before Christmas(クリスマスの前の晩)」がある。米国では、多くの子どもたちがクリスマスイブに眠りにつく前に、この詩を読み聞かせてもらい、サンタの訪問を想像して胸をときめかせる。

 

wwwj-theme-celebrate-xmas5もっとも広く愛読されているクリスマスの物語のひとつが英国の作家チャールズ・ディケンズの1854年の作品「クリスマス・キャロル」である。これは、分かち合うことと思いやりの心の大切さを説いた物語である。ここに登場する一家は、食べるものにも困るほど貧しく、松葉づえが必要な障害のある息子タイニー・ティムを医者に見せるお金もない。それでも彼らは、仲良く幸せな家族と親切な友人たちに恵まれている自分たちは幸せだと考えている。「クリスマス・キャロル」の一部を朗読することをクリスマスの大事な伝統のひとつとしている米国の家庭も多い。またクリスマスの時期には、劇場やテレビ用に脚色された「クリスマス・キャロル」も人気がある。もうひとつクリスマス・シーズンで人気があるのは、子どもの夢の世界を描いたピョートル・イリイチ・チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」である。大勢の子どもたちが登場して踊る「くるみ割り人形」は、年齢を問わず皆に楽しまれている。

この時期、クリスマスのための特別な歌、クリスマス・キャロルがどこでも聞かれる。地域のグループや教会の聖歌隊が、近所の家を1軒1軒回ってキャロルを歌うこともある。クリスマス・キャロルには、「Good King Wenceslaus(慈しみ深き王ウェンセスラス)」や「Deck the Halls(ひいらぎを飾ろう)」のような昔からある歌、「Joy to the World(もろびとこぞりて)」や「O Little Town of Bethlehem(ベツレヘムの小さな町で)」などの賛美歌、そして「I’ll Be Home for Christmas(クリスマスは我が家で)」のような現代の米国の歌など、さまざまな歌があり、宗教的なものもそうでないものも、クリスマス・シーズンの精神と楽しさを表わしている。

 


出典:Christmas Day: December 25 – Celebrate! Holidays in the U.S.A.

*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

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