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文化

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文学

アメリカ文学は、植民地時代以前から現代まで、幅の広い、曲がりくねった道を辿ってきた。社会、歴史、科学技術、これら全てがアメリカ文学に明白に影響を及ぼした。しかしながら、究極的には、米国文学の輝かしさや悪意、伝統や約束などの全てとともに、普遍の人間性が存在する。

初期の米国入植時代と植民地時代から1776年まで

米国文学は、インディアン文化の神話、伝説、おとぎ話や抒情詩(それは唄が常である)の口伝に起源が求められる。500種以上の異なるインディアン言語や、最初のヨーロッパ人が上陸する以前に北米に存在していた部族文化の中に、筆記による文学はまったくなかった。結果として、アメリカ先住民による口伝の文学は非常に多様である。ナバホのような準遊牧生活を送る狩猟文化における物語と、岩屋暮らしのアコマのような定住農耕部族の話とは異なるし、また、オジブワのような北部の湖畔の居住者に伝わる話と、ホピのような砂漠暮らしの部族に伝わる話とはしばしば根本的に異なる。

民主主義の起源と革命的作家 1776-1820

イギリスとの米国独立の激戦(1775~1783)は、宗主国に解放を求めて戦った最初の近代戦争であった。米国の独立という大勝利は、当時多くの人々に、米国とその国民に、偉大さを運命づける兆しに思われた。軍事的な勝利は、偉大な新しい文学を求める国家主義的な欲望を掻き立てた。しかし、傑出した政治的著作は例外として、独立戦争のさ中にも直後にも、注目すべき作品は生まれなかった。

ロマン主義時代 1820-1860: エッセイストと詩人

ロマン主義運動はドイツで起こり、すぐにイギリス、フランスに伝播、さらに1820年頃米国に渡った。ウイリアム・ワーズワースとサミエル・テイラー・コールリッジがリリカル・バラッズを発表して、イギリスの詩に大変革をもたらした約20年後のことである。ヨーロッパと同様米国でも、瑞々しく新しい考え方が、芸術家や知的な人々に衝撃を与えた。しかし重要な相違点があった。米国におけるロマン主義は、国家の発展やアメリカらしさの発見の時期と重なっていた。国家のアイデンティティーの確立、急激に高まる理想主義そしてロマン主義への情熱などの重なりがアメリカンルネッサンスの傑作を数多く育てた。

ロマン主義時代 1820-1860: フィクション

ウオルト・ホイットマン、ナサニエル・ホーソン、ハーマン・メルビル、エドガー・アラン・ポー、エミリー・ディキンソンや先験論者理想主義者たちが、米国が生んだ最初の偉大な文学世代の代表である。小説家の場合、ロマン主義のビジョンは、ホーソンがロマンスと呼んだ、研ぎ澄まされた、情緒的、象徴的な小説の形で表現される傾向があった。ロマンスはラブストーリーではなく、複雑で微妙な意味を伝えるために特別な技法を用いた真面目な小説であった。

リアリズムの台頭: 1860-1914

工業化の進んだ北部と農業主体の奴隷制を維持する南部との間で戦われた南北戦争(1861~1865)は、米国史の大転換点となった。若い民主国家の無邪気な楽観主義は、戦後、疲弊の時代に取って代わられた。米国の理想主義はそのままだったが、新たに道を拓かねばならなかった。戦争前、理想主義者たちは人権、とりわけ奴隷制の廃止を唱えていたが、戦争後は、米国人は進歩と自分で努力して成功を収めた人物をますます理想化していった。この当時は、大金持ちの工場主と相場師の時代で、ダーウインの進化論と適者生存の法則が、成功を収めたビジネス界の大物による、時には倫理にもとるやり方を是認しているように思われる時期であった。

モダニズムと実験: 1914-1945

多くの歴史家は、2つの世界大戦の間を、米国の直接的な関与は比較的短期間(1917~1918)で、死傷者もヨーロッパの同盟国や敵方のそれに比べ少数だったにも拘わらず、米国にとって深い傷を残す新時代の到来の時期とみなしている。ジョン・ドス・パソスは小説「スリー・ソリジャーズ」(1921)で、文明は“壮大なまがい物の殿堂であり、戦争はその崩壊をもたらすものではなく、その最も完全かつ究極の表現であった”、と米国の戦後の幻滅感を言い表した。衝撃を受け、永遠に変わり、米国人は故郷へ戻ったが、無邪気さを取り戻すことはなかった。

1945年以降の米国の詩: 反伝統

現代の文学的創意において、伝統的な形式、アイディア、歴史が人の暮らしに意味と継続性を与えるという仮説からの転換が、米国も含め世界の各地で進んでいる。第2次大戦以来の諸々の出来事が、歴史は非連続的のものであるという認識をもたらした。各々の行為、感情、瞬間はひとつしか存在しない。スタイルや形式は、今では、作文の過程や作者の自己認識の反映であり、一時的な、かりそめのものと思われている。よく知られた表現カテゴリーは胡散臭く、独創性が新たな伝統になってきている。

1945年以降の米国の散文: リアリズムと実験

第2次世界大戦以降、物語りは一般化に抗している。それは極めて千差万別、多面的である。ヨーロッパの実存主義やラテンアメリカの魔術的なリアリズムのような国際的な流れから活力を与えられ、その一方、電子の時代は地球村をもたらした。テレビの話し言葉の世界は、話し言葉の伝統に新たな生命を吹き込んだ。話し言葉のジャンル、メディア、そしてポピュラーカルチャーが物語りにますます影響を与えている。

–米国務省国際情報プログラム局出版物と米政府出版物から要約–

 

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