About THE USA

国務省出版物

« CONTENTS LIST

選挙人団 ― 早わかり「米国の選挙」

Q: 最も得票数の多い大統領候補が必ず当選するのか?

A: そうとは限らない。実際、一般投票で最高得票を得られなかった候補者が当選した大統領選挙がこれまでに4回ある。
その最初の例は1824年の選挙で当選したジョン・クインシー・アダムスで、直近ではジョージ・W・ブッシュとアル・ゴアの間で争われた2000年の大統領選挙がある。
どうしてこのようなことが起きるのか。
その答えは「選挙人団」にある。米国憲法の起草者たちは、(当時の)13州の利益と国民全体の利益のバランスを取る制度をつくり出そうとし
た。このため、下院議員は有権者が選挙で選ぶが、上院議員は(下院議員と同様に国民によって選ばれた)州議会が選出することになった。そして各州は代表を「選挙人団」に送り、そこで大統領と副大統領を選んでいた。

この制度をより民主的なものにするために後に憲法が修正され、1913年から連邦上院議員は直接有権者が選ぶようになった。また、公式に大統領を選ぶのは今も選挙人団だが、選挙人団のメンバーは国民が選ぶようになっている。
その仕組みを説明しよう。
11月に大統領選の本選挙が実施された後、選挙人団が12月に集まる。ほとんどの州で、選挙人は州の有権者の過半数が誰に投票したかに基づいて自分の票を入れる。選挙人は自分の州で12月15日に投票し、連邦議会が翌1月、公式に開票する。
各州の選挙人の数は、州人口の国勢調査に基づいて決められている州選出の下院議員と、上院議員(上院議員はどの州も2人)の数の合計に等しい。コロンビア特別区は州ではないため連邦議会における投票権はないが、選挙人票として3票を持つ。
選挙人の総数は538人であり、大統領に選ばれるためには270の選挙人票を得る必要がある。 

ほとんどの州が、勝者総取り方式で選挙人票を割り当てる。
つまり、一般投票で最も多い票を集めた正副大統領候補のコンビが、その州の選挙人票をすべて獲得する。

ネブラスカとメーンの2州では、一般投票での得票数に比例する形で選挙人票を与えるという方法が試みられている。大統領選挙での戦略は、選挙人票を積み上げると270票となる州の組み合わせを「勝ち取る」こと
といえる。少数の激戦州での選挙人票に、選挙の結果が左右されることもあり得る。
勝者総取り方式がもたらすひとつの結果として、候補者が全米で最も多くの票を獲得しても選挙に負ける場合がある。
ある州で候補者が僅差で勝ち、その州が多数の選挙人票を有している場合を考えてみよう。この場合でも、この候補者は全ての選挙人票を獲得できる。例えば、ある候補者がカリフォルニア州で僅差の勝利をおさめ
た場合でも、同州の選挙人票55票の全てを獲得できる。その候補者が他の小さい州で大差で負ければ、対立候補よりも一般投票の獲得数は少ないかもしれない。だが、その候補者は選挙人票においては依然として優位に立てる。
合計で270票の選挙人票を得るには、人口が少なく、選挙人票が少ない州であっても、全ての州で運動を展開することが候補者にとって重要である。

勝者総取り方式がもたらすひとつの結果として、候補者が全米で最も多くの票を獲得しても選挙に負ける場合がある。

  • 公式に大統領を選ぶのは選挙人団だが、選挙人団のメンバーを選出するのは国民である。
  • ある州の一般投票で最も多くの票を得た正副大統領候補コンビが、その州の選挙人票を全て獲得する。

 

Q: 米国ではなぜ選挙人団制度を維持しているのか?

A: 同制度は憲法に規定されており、憲法の修正は非常に難しいからである。また、選挙人団制度は2大政党制を強化することから、2大政党のどちらもその変更を支持する見込みはない。
しかし、これ以外にも選挙人団制度を続ける理由がある。
選挙人団制度があることによって大統領候補が広く選挙運動を展開せざるを得なくなっているが、多くの米国民はこの状況を支持している。この制度がなければ住民が大統領候補を間近で見る機会などないような小
さな州でも、選挙運動が行われる。また、ひとつの州や地域だけを重視していては十分な数の選挙人票を得られないため、大統領候補は全米各地の有権者の関心事を知り、それに対処する。その結果、選挙人団制度は大統領選の選挙運動の進め方に影響を及ぼしており、選挙戦費用にも大きく関わっている。

 

Q: 2016年の選挙人票の州別定数

A: 選挙人票は、1 0年ごとに実施される国勢調査に基づく各州の人口に従って配分される。

pub-election-brief-3

 

 

目次に戻る

 

 

 

 

 

« CONTENTS LIST

Elections in Brief

Electoral College (PDF)