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選挙の基礎知識 ― 早わかり「米国の選挙」

Q: 選挙はなぜ重要なのか?

A: 選挙は、市民から市民が選んだ代表へ、また選挙で選ばれた公職者からその後継者へと、権力を平和的かつ秩序正しく移行させる手段である。

米国憲法は、一定の権限を中央(つまり連邦)政府に、それ以外の権限を各州と国民に付与している。多くの国では中央政府が教育・保健政策を策定するが、米国ではこれらの分野で50州がそれぞれ一義的責任を負う。連邦政府が責任を負う分野の代表的な例は、国防と外交である。

憲法では、各州が共和制の統治形態を有することを求め、特定の権利を侵害することを禁じている(例えば「いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生命、自由または財産を奪ってはならない。また、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否定してはならない」)。しかしこれ以外については、各州はかなり大きな権限を保持している。

米国の制度は複雑に見えるが、この制度により有権者があらゆるレベルの政府に対して発言権を持つことができる。

 

Q: 誰が投票するのか?

A: 1789年にジョージ・ワシントンが初代大統領に選ばれたとき、投票できたのは米国民のわずか6%にすぎなかった。建国当初の13州の大半では、投票権があったのは土地を所有する21歳以上の男性だけであった。

今日、米国憲法は18歳以上の全ての国民に連邦、州、地方レベルの選挙で投票する権利を保障している。

※連邦レベルで選挙によって選ばれる公職者は、大統領、副大統領、連邦議会議員(下院議員435人、上院議員100人)だけである。

Q: どの公職者が選挙によって選ばれるのか?

A: 米国憲法は連邦レベルの公職に就くための資格を定めているが、全米50州はそれぞれ独自の憲法を持ち、州の役職に関する独自の規則を設けている。

例えば、ほとんどの州では州知事の任期は4年だが、任期が2年の州もある。裁判官についても、州によっては有権者が選ぶところもあるが、任命制を採用している州もある。州および地方で選挙によって選ばれる公職者は、知事や州議会議員から教育委員会の委員、さらには野犬捕獲員まで何千人にも及ぶ。

連邦レベルで選挙によって選ばれる公職者は、大統領、副大統領、連邦議会議員(下院議員435人、上院議員100人)だけである。

 

Q: 誰でも公職に立候補できるのか?

A: 米国憲法は、選挙により連邦レベルの公職に就くための要件を定めている。

大統領を務めるには、出生による*米国市民である者でなければならず、年齢は35歳以上で、14年以上米国に居住していなければならない。副大統領も同じ要件を満たさなければならない。米国憲法修正第12条に基づき、大統領を2期務めた者は副大統領になれない。

連邦下院議員の候補者は、25歳以上で、米国市民となって7年以上経過しており、選出される州の合法的居住者でなければならない。上院議員候補は、30歳以上、米国市民となって9年以上経過しており、選出される州の合法的居住者でなければならない。

*「出生による米国市民」とは、出生時に米国市民となり、米国籍取得の必要がない者を指す。 

Q: 連邦レベルの公職に就くための要件

連邦レベルの公職に就くには一定の要件を満たさなければならない。

A: 

  最低年齢 米国市民権と居住期間
大統領 35歳 出生による*米国市民、選挙前に14年以上米国に居住
副大統領 35歳 出生による*米国市民、選挙前に14年以上米国に居住、大統領と異なる州に居住
上院議員 30歳 米国市民になって9年以上、選出される州に居住
下院議員 25歳 米国市民になって7年以上、選出される州に居住

 

A: 選挙はいつ行われるか?

Q: 連邦レベルの公職については偶数年に選挙が行われる。

大統領選挙は4年ごとに、11月の第1月曜日の翌日の火曜日に実施される。

連邦下院は、435議席全てが2年ごとに改選される。

上院議員は、期間をずらしてそれぞれ6年の任期を務めるため、総議席数である100議席の3分の1(または3分の1プラス1議席)が2年に一度改選される。

上院議員が任期中に死亡したり、執務不能になったり したときは、奇数年または次の偶数年に特別な選挙が実施される。新たに選出された上院議員は元の議員の任期終了まで務める。州知事が、元の上院議員の任期の残りの期間を務める者を任命する州もある。

 

A: 大統領は何回まで再選が可能か?

Q: 初代大統領ジョージ・ワシントンが3期目への立候補を辞退した後、多くの米国人は、いかなる大統領も任期は2期で十分だと考えた。

ワシントン以降の大統領の中で3期目を目指した者はいなかったが、1940年、大恐慌と第2次世界大戦を背景にフランクリン・D・ルーズベルト大統領が3選を目指し当選した。同大統領は1944年に4選を果たしたが、在任中の1945年に死去した。これについて、ひとりの人物が大統領の権限を保持する期間としては長すぎると考える人もいた。そこで1951年に米国憲法修正第22条が承認され、いかなる者も2回を超えて米国大統領に選ばれることが禁じられた。

*ワシントンDCにあるホワイトハウスが、大統領が執務を行い、居住する公邸となったのは1800年のことである。

A: 他の公職についてはどうか?

Q: 連邦議会議員については再選回数に制限はない。州および地方の公職について再選回数に制限がある場合は、州の憲法や地方条例に詳しく規定されている。

連邦議会の上下両院はほぼ同等の権限を有するが、選出方法は全く異なる。

米国の建国者たちは、下院議員に国民の近くに身を置かせ、国民の要望や希望を国政に反映させようとした。

それゆえ、小さく区切った選挙区から多くの議員を集めるため、下院の議席数を比較的多くし、短期間(2年)で改選するように定めた。

全米50州はそれぞれ、下院に1議席を有する権利を与えられており、人口に応じてさらに追加の議席が配分される。

例えば、アラスカ州は人口が非常に少ないため下院には1議席しか持たないが、最も人口の多いカリフォルニア州は55議席を持つ。10年ごとに国勢調査が実施され、新たな人口統計に基づいて各州に議席が再配分される。

各州が州内の下院議員選挙区の区割りを決める。各選挙区の住民数を可能な限り同数に近づけさえすれば、各州はかなり自由に区割りを決めることができる。当然ながら、ある政党が州政府を支配している場合、その党は自党の連邦議会議員候補に有利になるよう区割りを設定しようとする。

上院は、議員がより広い選挙区、すなわち州全体を代表し、人口の多少にかかわらず各州が平等の代表権を持つように設定されている。 そのため、上院では、小さな州が大きな州と同じ影響力(2議席)を持つ。

 

A: 連邦レベルの公職の選挙

Q: 連邦レベルの公職については通常、偶数年に選挙が行われる。 大統領と副大統領の選挙は4年ごとに行われる。連邦議会については、上院議員は6年ごと、下院議員は2年ごとに改選される。

 

 

 

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