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法律

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アメリカ合衆国憲法

[前文]

われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に 備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに アメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。

 

第1章[立法部]

第1 条[連邦議会]

この憲法によって付与されるすべての立法権は、上院と下院で構成される合衆国連邦議会に属する。

第2 条[下院]

[第1 項]下院は、各州の州民が2 年ごとに選出する議員でこれを組織する。各州の選挙権者は、州の立 法部のうち議員数の多い院の選挙権者となるのに必要な資格を備えていなければならない。

[第2 項]年齢25 歳に達していない者、合衆国市民となって7 年に満たない者、および選挙された時に その選出された州の住民でない者は、下院議員たることはできない。

[第3 項]下院議員と直接税は、連邦に加わる各州の人口に比例して各州間に配分される。【各州の人口 は、年期を定めて労務に服する者を含み、かつ、納税義務のないインディアンを除いた自由人の総数に、 自由人以外のすべての者の数の5 分の3 を加えたものとする。*】[修正第14 条、修正第16 条により改正] 実際の人口の算定は、合衆国連邦議会の最初の集会から3 年以内に、それ以後は10 年ごとに、議会が法律 で定める方法に従って行うものとする。下院議員の定数は、人口3 万人に対し1 人の割合を超えてはなら ない。但し、各々の州は少なくとも1 人の下院議員を選出するものとする。前記の算定が行われるまでは、 ニューハンプシャー州は3 人、マサチューセッツ州は8 人、ロード・アイランド・アンド・プロビデン ス・プランテイションズ州は1 人、コネチカット州は5 人、ニューヨーク州は6 人、ニュージャージー州 は4 人、ペンシルべニア州は8 人、デラウェア州は1 人、メリーランド州は6 人、バージニア州は10 人、 ノース・キャロライナ州は5 人、サウス・キャロライナ州は5 人、ジョージア州は3 人を、それぞれ選出 することができるものとする。

 *奴隷は5 分の3 人として計算するという意味

[第4 項]州の選出下院議員に欠員が生じたときは、その州の執行部は、欠員を補充するための選挙実施 の命令を発しなければならない。

[第5 項]下院は、議長その他の役員を選任する。弾劾の訴追権限は下院に専属する。

第3 条[上院]

[第1 項]合衆国上院は、各州から2 名ずつ選出される上院議員でこれを組織する。上院議員は、【各州の立法部によって】[修正第17 条により改正]、6 年を任期として選出されるものとする。上院議員は、それぞれ1 票の投票権を有する。

[第2 項]第1 回選挙の結果にもとづいて上院議員が集会したときは、直ちにこれをできるだけ等しい人 数の3 組に分ける。議員の3 分の1 が2 年ごとに改選されるために、第1 組の議員の任期は2 年目の終わ りに、第2 組の議員の任期は4 年目の終わりに、第3 組の議員の任期は6 年目の終わりに終了するものと する。【州の立法部が閉会中に、辞職その他の理由で上院議員に欠員が生じたときは、州の執行部は、州立 法部がつぎの開会時に欠員を補充するまでの間、臨時の任命を行うことができる。[修正第17 条により改正]

[第3 項]年齢30 歳に達していない者、合衆国市民となって9 年に満たない者、および選挙された時に その選出された州の住民でない者は、上院議員たることはできない。

[第4 項]合衆国の副大統領は、上院の議長となる。但し、可否同数のときを除き、表決には加わらな い。

[第5 項]上院は、議長を除く他の役員を選任する。副大統領が欠けた場合、または副大統領が合衆国大 統領の職務を行う場合には、臨時議長を選任する。

[第6 項]すべての弾劾を裁判する権限は、上院に専属する。この目的のために集会するときには、議員 は、宣誓または宣誓に代る確約*をしなければならない。合衆国大統領が弾劾裁判を受ける場合には、最 高裁判所長官が裁判長となる。何人も、出席議員の3 分の2 の同意がなければ、有罪の判決を受けること はない。

 *宗教上の理由などから宣誓できない場合に、これに代えて行う宣誓同様の陳述

[第7 項]弾劾事件の判決は、職務からの罷免、および名誉、信任または報酬を伴う合衆国の官職に就任 し在職する資格の剥奪以上に及んではならない。但し、弾劾につき有罪判決を受けた者が、法にもとづい て、起訴、公判、判決、または処罰の対象となることを妨げない。

第4 条[上下両院議員選挙]

[第1 項]上院議員および下院議員の選挙を行う日時、場所、方法は、各々の州においてその立法部が定 める。但し、連邦議会は何時でも、上院議員を選出する場所に関する事項を除き、法律によりかかる規則 を制定し、または変更することができる。

[第2 項]連邦議会は、毎年少なくとも1 回集会するものとする。会期の開始時期は、法律で別の日が指 定されない限り、【12 月の第1 月曜日とする。】[修正第20 条により改正]

第5 条[議会手続]

[第1 項]両議院は、各々その議員の選挙、選挙の結果および資格に関して判定を行うものとする。各々 の院は、その議員の過半数をもって議事を行うに必要な定足数とする。定足数に満たない場合においても、 翌日に延会とし、各々の院の定める方法および制裁によって、欠席議員の出席を強制することができる。

[第2 項]両議院は、各々その議事規則を定め、秩序を乱した議員を懲罰し、3 分の2 の同意によって議 員を除名することができる。

[第3 項]両議院は、各々その議事録を作成し、その院が秘密を要すると判断する部分を除いて、随時こ れを公表しなければならない。各院の議員の表決は、いかなる議題についても、出席議員の5 分の1 の請 求があれば、これを議事録に記載しなければならない。

[第4 項]連邦議会の会期中、いずれの院も、他の院の同意がなければ、3 日間を越えて休会し、または その議場を両院の開会中の場所から他へ移すことはできない。

第6 条[議員の報酬と特権]

[第1 項]上院議員および下院議員は、その職務に対し、法律の定めるところにより、合衆国の国庫から 支出される報酬を受ける。両院の議員は、叛逆罪、重罪および社会の平穏を害す罪を犯した場合を除いて いかなる場合にも、会期中の議院に出席中または出退席の途上で、逮捕されない特権を有する。議員は、 議院で行った演説または討論について、院外で責任を問われない。

[第2 項]上院議員および下院議員は、その任期中に新設または増俸された合衆国の文官職に任命される ことはできない。合衆国のいかなる官職にある者も、その在職中に、いずれの議院の議員たることはでき ない。

第7 条[下院先議、大統領拒否権]

[第1 項]歳入の徴収を伴うすべての法律案は、さきに下院に提出しなければならない。但し、上院は、 他の法律案の場合と同じく、これに対し修正案を発議し、または修正を付して同意することができる。

[第2 項]下院および上院を通過したすべての法律案は、法律となるに先立ち、合衆国大統領に送付され なければならない。大統領は、承認する場合はこれに署名し、承認しない場合は、拒否理由を付してこれ を発議した院に返付する。その院は、拒否理由すべてを議事録に記載し、法律案を再び審議する。再議の 結果、その院が3 分の2 の多数でその法律案を可決したときは、法律案は大統領の拒否理由とともに他の 院に送付される。他の院でも同様に再び審議し、3 分の2 の多数で可決したときは、法律案は法律となる。 この場合にはすべて、両議院における投票は点呼表決によるものとし、法律案に対する賛成者および反対 者の氏名は、各々の院の議事録に記載されるものとする。大統領が法律案の送付をうけて10 日以内(日曜 日を除く)に返付しないときは、その法律案は、大統領が署名した場合と同様に法律となる。但し、連邦 議会が休会に入り、法律案を返付することができない場合は、この限りでない。

[第3 項]両議院の同意を要するすべての命令、決議または表決(休会にかかわる事項を除く)は、これ を合衆国大統領に送付するものとし、大統領の承認を得てその効力を生ずる。大統領が承認しないときは、 法律案の場合について定める規則と制限に従い、上院および下院の3 分の2 の多数をもって、再び可決さ れなければならない。

第8 条[連邦議会の立法権限]

[第1 項]連邦議会は、つぎの権限を有する。合衆国の債務を弁済し、共同の防衛および一般の福祉に備 えるために、租税、関税、輸入税および消費税を賦課し、徴収する権限。但し、すべての関税、輸入税お よび消費税は、合衆国全土で均一でなければならない。

[第2 項]合衆国の信用において金銭を借り入れる権限。

[第3 項]諸外国との通商、各州間の通商およびインディアン部族との通商を規制する権限。

[第4 項]統一的な帰化に関する規則、および合衆国全土に適用される統一的な破産に関する法律を制定 する権限。

[第5 項]貨幣を鋳造し、その価格および外国貨幣の価格を規制する権限、ならびに度量衝の基準を定め る権限。

[第6 項]合衆国の証券および通貨の偽造に対する罰則を定める権限。

[第7 項]郵便局を設置し、郵便道路を建設する権限。

[第8 項]著作者および発明者に対し、一定期間その著作および発明に関する独占的権利を保障すること により、学術および有益な技芸の進歩を促進する権限。

[第9 項]最高裁判所の下に下位裁判所を組織する権限。

[第10 項]公海上で犯された海賊行為および重罪行為ならびに国際法に違反する犯罪を定義し、これを 処罰する権限。

[第11 項]戦争を宣言し、船舶捕獲免許状*を授与し、陸上および海上における捕獲に関する規則を設 ける権限。

 *国家が私船に海賊行為をすることを認める許可状。1856 年のパリ宣言で禁止。

[第12 項]陸軍を編成し、これを維持する権限。但し、この目的のためにする歳出の承認は、2 年を超 える期間にわたってはならない。

[第13 項]海軍を創設し、これを維持する権限。

[第14 項]陸海軍の統帥および規律に関する規則を定める権限。

[第15 項]連邦の法律を執行し、反乱を鎮圧し、侵略を撃退するために、民兵団を召集する規定を設け る権限。

[第16 項]民兵団の編制、武装および規律に関する定めを設ける権限、ならびに合衆国の軍務に服する 民兵団の統帥に関する定めを設ける権限。但し、民兵団の将校の任命および連邦議会の定める軍律に従っ て民兵団を訓練する権限は、各州に留保される。

[第17 項]特定の州から割譲され、かつ、連邦議会が受領することにより合衆国政府の所在地となる地 区(但し、10 マイル平方を超えてはならない)に対して、いかなる事項についても専属的な立法権を行使 する権限、および要塞、武器庫、造兵廠、造船所その他必要な建造物を建設するために、それが所在する 州の立法部の同意を得て購入した土地のすべてに対し、同様の権利を行使する権限。

[第18 項]上記の権限およびこの憲法により合衆国政府またはその部門もしくは官吏に付与された他の すべての権限を行使するために、必要かつ適切なすべての法律を制定する権限。

第9 条[連邦立法権の制限]

[第1 項]連邦議会は、1808 年より前においては、現に存する州のいずれかがその州に受け入れること を適当と認める人びとの移住または輸入を、禁止することはできない。但し、その輸入に対して、1 人につ き10 ドルを超えない租税または関税を課すことができる。

[第2 項]人身保護令状*の特権は、反乱または侵略に際し公共の安全上必要とされる場合を除いて、停 止されてはならない。

 *裁判所が身柄を拘束されている者の申し立てでその拘束が違法かどうか審査する令状

[第3 項]私権剥奪法*または事後法を制定してはならない。

 *反逆の罪などを犯したとして裁判手続によらずに市民の権利を奪う議会立法

[第4 項]【人頭税その他の直接税は、この憲法に規定した人口調査または算定にもとづく割合によらな ければ、これを賦課してはならない。】[修正第16 条で改正]

[第5 項]各州から輸出される物品に対して、租税または関税を賦課してはならない。

[第6 項]通商または徴税に関するいかなる規制によっても、1 州の港湾に対して他州の港湾よりも有利 な地位を与えてはならない。1 州に入港またはこれより出港する船舶に対して、他州に入港すること、また は他州において出入港手続きをすることもしくは関税の支払いをすることを強制してはならない。

[第7 項]国庫からの支出は、法律で定める歳出予算によってのみ、これを行わなければならない。いっ さいの公金の収支に関する正式の決算は、随時公表しなければならない。

[第8 項]合衆国は、貴族の称号を授与してはならない。合衆国から報酬または信任を受けて官職にある 者は、連邦議会の同意なしに、国王、公侯または他の国から、いかなる種類の贈与、俸給、官職または称 号をも受けてはならない。

第10 条[州権限の制限]

[第1 項]州は、条約を締結し、同盟もしくは連合を形成し、船舶捕獲免許状を付与し、貨幣を鋳造し、 信用証券を発行し、金貨および銀貨以外のものを債務弁済の法定手段とし、私権剥奪法、事後法もしくは 契約上の債権債務関係を害する法律を制定し、または貴族の称号を授与してはならない。

[第2 項]州は、その検査法を執行するために絶対に必要な場合を除き、連邦議会の同意なしに、輸入品 または輸出品に対し輸入税または関税を賦課してはならない。州によって輸入品または輸出品に賦課され た関税または輸入税の純収入は、合衆国国庫の用に供される。かかる法律はすべて、連邦議会の修正また は規制に服する。

[第3 項]州は、連邦議会の同意なしに、トン税を課し、平時に軍隊または軍艦を保持し、他州もしくは 外国と協定もしくは契約を締結し、または、現に侵略を受けもしくは一刻の猶予も許さないほど危険が切 迫しているときを除き、戦争行為をしてはならない。

 

第2章[執行部]

第1 条[大統領と副大統領、選出方法]

[第1 項]執行権は、アメリカ合衆国大統領に属する。大統領の任期は4 年とし、同一の任期で選任され る副大統領とともに、つぎの方法で選出される。

[第2 項]各々の州は、その立法部が定める方法により、その州から連邦議会に選出することのできる上 院議員および下院議員の総数と同数の選挙人を任命する。但し、上院議員、下院議員および合衆国から報 酬または信任を受けて官職にあるいかなる者も、選挙人に選任されることはできない。

[第3 項]【選挙人は、各々の州で集会して、無記名投票により2 名に投票する。そのうち少なくとも1 名は、選挙人と同じ州の住民であってはならない。選挙人は、得票者と各々の得票数を記した一覧表を作 成し、これに署名し認証した上で、封印をほどこして上院議長に宛てて、合衆国政府の所在地に送付する。 上院議長は、上院議員および下院議員の出席の下に、すべての認証書を開封したのち、投票を計算する。 最多数の投票を得た者の票数が選挙人総数の過半数に達しているときは、その者が大統領となる。選挙人 総数の過半数に達した者が2 名以上あり、かつ、得票数が同数の場合は、下院は直ちに無記名投票により、 その中の1 名を大統領に選出しなければならない。過半数に達した者がいないときは、得票者一覧表の中 の上位得票者5 名の中から、同一の方法で下院が大統領を選出する。但し、この方法により大統領を選出 する場合には、投票は州を単位として行い、各州の議員団は1 票を投じるものとする。この目的のための 定足数は、全州の3 分の2 の州から1 名または2 名以上の議員が出席することを要し、大統領は全州の過 半数をもって選出されるものとする。いずれの場合にも、大統領を選出した後に、選挙人の投票の最多数 を得た者が、副大統領となる。但し、その場合に同数の得票者が2 名以上あるときは、上院は無記名投票 でその中から副大統領を選出しなければならない。】[修正第12 条により改正]

[第4 項]連邦議会は、選挙人を選任する時および選挙人が投票を行う日を定めることができる。投票日は合衆国全土を通じて同一の日でなければならない。

[第5 項]出生により合衆国市民である者、または、この憲法の成立時に合衆国市民である者でなけれ ば、大統領の職に就くことはできない。年齢満35 歳に達していない者、および合衆国内に住所を得て14 年を経過していない者は、大統領の職に就くことはできない。

[第6 項]大統領が罷免され、死亡し、辞職し、またはその職権および義務を遂行する能力を失ったとき は、副大統領が、大統領の職務を行う。連邦議会は、大統領と副大統領がともに罷免され、死亡し、辞職 し、または執務不能に陥った場合について、法律により、いかなる官吏に大統領の職務を行わせるかを定 めることができる。この官吏は、執務不能の状態が解消される時または大統領が選出される時まで、大統 領の職務を行う。

[第7 項]大統領は、その職務に対して定期に報酬を受ける。報酬額は、その任期中増額または減額され ない。大統領は、その任期中、合衆国または州から他のいかなる報酬も受けてはならない。

[第8 項]大統領は、その職務遂行に先立ち、つぎのような宣誓または宣誓に代る確約をしなければなら ない。「私は、合衆国大統領の職務を忠実に執行し、全力を尽して合衆国憲法を維持し、保護し、擁護する ことを厳粛に誓います(確約します)。」

第2 条[大統領の権限]

[第1 項] 大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の 民兵団の最高司令官である。大統領は、行政各部門の長官に対し、それぞれの職務に関するいかなる事項 についても、文書によって意見を述べることを要求することができる。大統領は、弾劾の場合を除き、合 衆国に対する犯罪について、刑の執行停止または恩赦をする権限を有する。

[第2 項] 大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。但し、この場合には、 上院の出席議員の3 分の2 の賛成を要する。大統領は、大使その他の外交使節および領事、最高裁判所の 裁判官、ならびに、この憲法にその任命に関して特段の規定のない官吏であって、法律によって設置され る他のすべての合衆国官吏を指名し、上院の助言と承認を得て、これを任命する。但し、連邦議会は、適 当と認める場合には、法律によって下級官吏の任命権を大統領のみに付与し、または、司法裁判所もしく は各部門の長官に付与することができる。

[第3 項] 大統領は、上院の閉会中に生じるいっさいの欠員を補充する権限を有する。但し、その任命 は、つぎの会期の終りに効力を失う。

第3 条[大統領の義務]

大統領は、随時、連邦議会に対し、連邦の状況に関する情報を提供し、自ら必要かつ適切と考える施策 について審議するよう勧告するものとする。大統領は、非常の場合には、両議院またはいずれかの一院を 召集することができる。大統領は、閉会の時期に関し両議院の間で意見が一致しないときは、自ら適当と 考える時期まで休会させることができる。大統領は、大使その他の外交使節を接受する。大統領は、法律が忠実に執行されることに留意し、かつ、合衆国のすべての官吏を任命する。

第4 条[弾劾] 大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき 弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる。

 

第3章[司法部]

第1 条[連邦司法権]

合衆国の司法権は、1 つの最高裁判所、および連邦議会が随時制定し設立する下位裁判所に属する。最高 裁判所および下位裁判所の裁判官はいずれも、非行なき限り、その職を保持することができる。これらの 裁判官は、その職務に対して定期に報酬を受ける。その額は、在職中減額されない。

第2 条[連邦裁判所の管轄事項]

[第1 項] 合衆国の司法権はつぎの諸事件に及ぶ。この憲法、合衆国の法律および合衆国の権限にもと づき締結された、または将来締結される条約のもとで発生するコモン・ロー上およびエクイティ上のすべ ての事件*。大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件。海事法および海事裁判権に関す るすべての事件。合衆国が当事者の一方である争訟。2 以上の州の間の争訟。【州と他州の市民との間の争 訟。】[修正第11 条により改正] 異なる州の市民間の争訟。同じ州の市民間の争訟であって、異なる州から付 与された土地の権利を主張する争訟。1 州またはその市民と外国またはその市民もしくは臣民との間の争 訟。

 *英米民事法はコモン・ローとエクイティと呼ばれる歴史的に形成された二つの実体法体系から成り、コモン・ロー 事件は損害賠償請求事件、エクイティ事件は差止めや履行強制を求める事件が中心。

[第2 項] 大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件、ならびに州が当事者であるすべ ての事件については、最高裁判所は、第一審管轄権を有する。前項に掲げたその他の事件については、最 高裁判所は、連邦議会の定める例外の場合を除き、連邦議会の定める規則に従い、法律問題および事実問 題の双方について上訴管轄権を有する。

[第3 項] 弾劾事件を除き、すべての犯罪の裁判は、陪審によって行われなければならない。裁判は、 当該犯罪がなされた州で行われなければならない。但し、犯罪がいかなる州においてもなされなかったと きは、裁判は、連邦議会が法律で定める1 または2 以上の場所で行われるものとする。

第3 条[反逆罪]

[第1 項] 合衆国に対する反逆罪は、合衆国に対して戦争を起こす場合、または合衆国の敵に援助と便 宜を与えてこれに加担する場合にのみ、成立するものとする。何人も、同一の外的行為についての2 人の 証人の証言、または公開の法廷での自白によるのでなければ、反逆罪で有罪とされない。

[第2 項] 連邦議会は、反逆罪の処罰を宣言する権限を有する。ただし、反逆罪を理由とした私権剥奪 の効力は、血統汚損*または、私権を剥奪された者の生涯の間を除き、財産没収に及んではならない。

 *私権剥奪された者の血統が汚損されたとして財産を相続し、または相続させる権利、相続した財産を保有する権利 がないとすること。

 

第4章[連邦条項]

第1 条[十分な信頼と信用条項]

各々の州は、他のすべての州の一般法律、記録および司法手続に対して、十分な信頼と信用を与えなけ ればならない。連邦議会は、一般的な法律により、これらの法律、記録および司法手続を証明する方法な らびにその効果につき、規定することができる。

第2 条[市民権条項、逃亡犯罪人・奴隷の引渡し条項]

[第1 項] 各々の州の市民は、他州において、その州の市民が享有するすべての特権および免除を等し く享有する権利を有する。

[第2 項] いずれかの州において反逆罪、重罪その他の犯罪につき告発された者が、裁判を逃れて他州 で発見された場合には、その逃亡した州の執行部の要求があれば、当該犯罪につき裁判権を有する州に移 送するために、この者を引き渡さなければならない。

[第3 項] 1 州において、その州の法律によって役務または労務に服する義務のある者は、他州に逃亡 しても、その州の法律または規則によってかかる役務または労務から解放されるものではなく、当該役務 または労務を提供されるべき当事者からの請求があれば、引き渡されなければならない。[修正第13 条で改正]

第3 条[新州および連邦財産条項]

[第1 項] 連邦議会は、新しい州がこの連邦へ加入することを認めることができる。但し、連邦議会お よび関係する州の立法部の同意なしに、既存の州の領域内に新州を形成し、または2 つ以上の州もしくは その一部を合併して1 つの州を形成することはできない。

[第2 項] 連邦議会は、合衆国に属する領有地その他の財産を処分し、これに関する必要ないっさいの 準則および規則を定める権限を有する。この憲法中のいかなる規定も、合衆国または特定の州の請求権を 損なうように解釈されてはならない。

第4 条[共和政体条項]

合衆国は、この連邦内のすべての州に対し共和政体を保障し、侵略に対し各州を防衛する。合衆国は、 州の立法部または(立法部が集会できないときは)執行部の要請があれば、州内の暴動に対して各州を防 護する。

 

第5章[改正]

連邦議会は、両院の3 分の2 が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、3 分の2 の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、4 分の3 の州の立法部または4 分の3 の州における憲法会議によって承認された ときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連 邦議会が定める。但し、1808 年より前に行われるいかなる修正も、第1 章第9 条1 項および4 項の規定 に変更を加えてはならない。いかなる州も、その同意なしに、上院における平等の投票権を奪われること はない。

 

第6章[最高法規]

[第1 項] この憲法成立前に契約されたすべての債務および締結されたすべての約定は、この憲法の下 においても、連合規約の下におけると同様に、合衆国に対して有効である。

[第2 項] この憲法、およびこれに準拠して制定される合衆国の法律、ならびに合衆国の権限にもとづ いて締結された、または将来締結されるすべての条約は、国の最高法規である。すべての州の裁判官は、 州の憲法または法律に反対の定めがある場合でも、これらのものに拘束される。

[第3 項] この憲法に定める上院議員および下院議員、州の立法部の議員、ならびに合衆国および各州 のすべての行政官および司法官は、宣誓または宣誓に代る確約により、この憲法を擁護する義務を負う。 但し、合衆国のいかなる官職または信任による職務に就く資格条件として、宗教上の審査を課してはなら ない。

 

第7章[成立手続]

この憲法は、9 州の憲法会議の承認があれば、承認した州の間で成立するものとする。

西暦1787 年、アメリカ合衆国独立第12 年、9 月17 日、憲法会議において列席各州全会一致の同意に より、この憲法を定めた。これを証するため、われらはここに署名する。

ジョージ・ワシントン
議長にしてバージニア州代表

デラウェア州
ジョージ・リード
ガニング・ベッドフォードジュニア
ジョン・ディッキンソン
リチャード・バセット
ジェコブ・ブルーム

メリーランド州
ジェームズ・マクヘンリー
ダン・オブ・セント・トマス・ジェニファー
ダニエル・キャロル

バージニア州
ジョン・ブレア
ジェームズ・マディソンジュニア

ノースカロライナ州
ウィリアム・ブラウント
リチャード・ドッブス・スペイト
ヒュー・ウィリアムソン

サウスカロライナ州
ジョン・ラトレッジ
チャールズ・コーツワース・ピンクニー
チャールズ・ピンクニー
ピアース・バトラー

ジョージア州
ウイリアム・フュー
エイブラハム・ボードウィン

ニューハンプシャー州
ジョン・ラングドン
ニコラス・ギルマン

マサチューセッツ州
ナサニエル・ゴーラム
ルーファス・キング

コネチカット州
ウィリアム・サミュエル・ジョンソン
ロジャー・シャーマン

ニューヨーク州
アレグザンダー・ハミルトン

ニュージャージー州
ウィリアム・リビングストン
デイビッド・ブリアリー
ウィリアム・パターソン
ジョナサン・デイトン

ペンシルベニア州
ベンジャミン・フランクリン
トマス・ミフリン
ロバート・モリス
ジョージ・クライマー
トマス・フィッツシモンズ
ジャレッド・インガソル
ジェームズ・ウィルソン
グーブナー・モリス

書記ウィリアム・ジャクソン、これを認証する。


アメリカ合衆国憲法本文第5 章にもとづき、合衆国議会が 発議し諸州の立法部が承認した、合衆国憲法に追加され またはこれを修正する条項
(Bill of Rights and Amendment 11-27)


詳細:Constitution of the United States The U.S. National Archives and Records Administration
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。 「解説」及び「アメリカ合衆国憲法の翻訳にあたって」はこちらをご覧ください。

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