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スナップショットUSA – 米国の簡単ガイドツアー ― 大西洋岸中部

ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、デラウェア、メリーランド

主要都市: ニューヨーク州ニューヨーク、ペンシルベニア州フィラデルフィア、メリーランド州ボルティモア

文学者: ワシントン・アービング、エドガー・アラン・ポー、ウォルト・ホイットマン、ガートルード・スタイン、J・D・サリンジャー、バーナード・マラマッド、アン・タイラー、オーガスト・ウィルソン

ニューイングランドが19世紀の米国拡張に頭脳と資金を与えたとすれば、大西洋岸中部は筋肉を与えた。この地域の２大州ニューヨークとペンシルベニアは、鉄やガラス、鋼鉄などの重工業の中心地となった。

ペンシルベニア州エリーを出て、ニューヨーク港の「自由の女神像」のそばを通過する２本マストの帆船ナイアガラ号（AP/WWP)

この地域にはニューイングランドより多様な人々が定住した。現在はニューヨーク州となっているハドソン川渓谷の下流地方にはオランダ人移民が入った。スウェーデン人はデラウェアに行った。英国のカトリック教徒はメリーランドに拠点を定め、英国プロテスタントの一派「フレンド派（クエーカー）」はペンシルベニアに落ち着いた。やがて、すべての定住者が英国の統治下に入るわけだが、この地域はその後も、さまざまな国から渡ってきた人々を引きつけた。大規模なドイツ人コミュニティもその一例である。

初期の定住者は農民と商人が多く、この地域が北部と南部の架け橋としての役目を果たした。ニューイングランドと南部の植民地との中間に位置するフィラデルフィアは、最初の13植民地の代表が集まった「大陸会議」の開催地となる。独立戦争はこの会議で準備され遂行された。フィラデルフィアは1776年の独立宣言と1787年の合衆国憲法の誕生地でもある。米国の首都が最初に置かれたのはニューヨーク・シティ、次いでフィラデルフィアに移された。

この地域の歴史的重要性は、米国陸軍士官学校がニューヨーク州ウェストポイントに、海軍士官学校がメリーランド州アナポリスにあることからも明らかだ。またニューヨーク港のエリス島は、20世紀初めにやってきた大量の移民の入国ポイントだった。

地域内に重工業が広がるにつれ、ハドソン川やデラウェア川などの河川が重要な通商航路に変わった。水路沿いにある都市――ハドソン川のニューヨーク、デラウェア川のフィラデルフィア、チェサピーク湾のボルティモア――は劇的な発展を遂げた。ニューヨークは今でも米国最大の都市で、米国の金融の中枢、文化の中心となっている。

ニューヨークには文化的施設や団体が数え切れないほどあるが、特にメトロポリタン・オペラ、ニューヨーク・シティ・バレエ、メトロポリタン美術館、グッゲンハイム美術館などが有名。この地域出身の文学界の巨匠としては、短編作家で詩人のエドガー・アラン・ポー、詩人のウォルト・ホイットマン、劇作家のアーサー・ミラー、現代作家のジョン・アップダイクやフィリップ・ロスを挙げられる。

ニューイングランドと同様、大西洋岸中部地域も多くの重工業が他地域へ移転する変遷を経験してきた。代わって、製薬、通信、サービスといった産業が進出している。

名物といえば、マンハッタン・クラムチャウダー、メリーランドのカニ、フィリー（フィラデルフィア）チーズステーキ・サンドイッチ、チキン・ポットパイ、リンゴ酒、ニューヨークのベーグル、ニューヨーク風チーズケーキがある。