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気候変動解決へのパートナーシップ – 気候変動緩和の経済的価値を高めるポーランドの「クリーンビジネス」パートナーシップ

世界から地域へ型アプローチ:事例研究

気候変動緩和の経済的価値を高めるポーランドの
「クリーンビジネス」パートナーシップ

ホリー・ワイズ

ホリー・ワイズは、コンサルタントであると当時に、ハーバード大学ケネディ行政大学院の上級研究員。また、ジョージタウン大学外交政策学部で企業開発を教えており、米国国際開発庁の海外勤務職員として26年間勤務した経験がある。

気候変動緩和のためのパートナーシップは、ビジネス開発の機会や事業を縮小することなく、炭素集約度とコストの低減に重点的に取り組むものである。「クリーンビジネス」は、そうしたパートナーシップの一例である。

1990年代の後半、国際ビジネスリーダーズフォーラム(IBLF)の支援を得て、BPオルタナティブ・エナジー社とポーランド環境パートナーシッ プ基金(PEPF)は、ポーランドの中小企業を結集し、環境パフォーマンスの改善、炭素排出削減に向けた地域活動への参加拡大、地域・国内・国際市場での 競争力向上に取り組む方法を模索していた。

3者の協力によって生み出されたのが、「クリーンビジネス」という名の気候変動緩和パートナーシップである。同プログラムは、各パートナーのニーズ に応えると同時に、環境をポーランド経済発展の根幹にかかわるビジネス問題と捉え、政府と産業界と地域社会を総動員してこの問題に取り組んできた。緩和の ためのパートナーシップは、ビジネス開発の機会や事業活動を縮小することなく、炭素集約度とコストの低減に重点的に取り組むものである。

クリーンビジネスの立ち上げが1998年であったことは特筆すべきである。まさにポーランドが中央指令型の経済から、市場経済、民主的統治へと移行 する中での旗揚げとなったからである。その移行期にあって、環境政策は政府の優先事項ではなかった。気候変動などは的外れな議題、他の誰かが取り組むべき 問題であると考えられていた。そうした状況の下でクリーンビジネスは、企業と地域社会による連携が新しい規範を確立し得ること、確立した規範が後に政府の 政策と深くかかわっていくことを実例で示したのである。

このパートナーシップはまた、全国レベルで活動を推進する機会をPEPFにもたらすとともに、BPに規模の小さい数々の企業と知識を分かち合う機会 をもたらした。BPオルタナティブ・エナジー社のビビエン・コックス元最高経営責任者・取締役副社長は、BPオルタナティブ・エナジーとしては、同社のビ ジネスを同社が事業をしている地元のコミュニティーと結び付けたいと考えた、と話している。「私たちは、社会の中での自らの役割を真剣に考える地元組織を 作りたいと切に願っていました」とコックスは語る。

クリーンビジネスは近年、企業にそれぞれの環境パフォーマンスを評価し監視するための実用的なツールを提供することに活動の重点を置いてきた。「環 境マネージャー・インターネットツール」もその1つだが、クリーンビジネスに参加する企業は、これを使って、2通りの方法でコストを削減し、ビジネス機会 を見つけることができる。まず、二酸化炭素排出量について、環境パフォーマンスの各種指標データを集め、再計算する。こうして企業は、自らの環境パフォー マンスを監視しつつ、それを内々に競合他社のパフォーマンスと比較することができる。第2に参加企業は、それぞれの関心分野のスペシャリストから助言と支 援を受けることができる。

このツールへのアクセスを得る見返りとして、企業はそれぞれの環境パフォーマンスの監視データを提供し、プログラムに参加している他の企業と経験か ら得た知識を共有する。この互恵主義がクリーンビジネス参加企業間で信頼と協調を生み、新たなビジネス機会をもたらすのである。これまでに、クリーンビジ ネスは以下のように、中小企業、ポーランド、そして環境に役立ってきた。

  • 部門を越えた専門知識の共有を促し、環境への影響を監視し評価するメカニズムを提供することで、5,000社を超える小規模企業を支援してきた。
  • ポーランド全土に16の「クリーンビジネスクラブ」を設立し、参加企業数は500を超えている。こうしたクラブは、持続可能な開発の実用性や、エ ネルギー・水・物質の消費が環境に及ぼす影響の削減について、参加企業が学習する機会を提供している。廃棄物を減らしエネルギー効率を高め、結果的に市場 での競争力を高めるよう、企業に働きかけるとともにその実現を可能にしている。
  • クリーンビジネス参加企業を支援し、平均で年10%の炭素排出量削減を実現させた。
  • 大手国際企業の間でも関心を呼び、英国の菓子販売キャドバリー、自動車のトヨタ、その他の大企業が、今ではPEPFと提携してそれぞれの炭素排出量削減努力を推進するようになった。
  • 視野を広げてみれば、クリーンビジネスは、1つの揺るぎないモデルを確立した。部門横断的なパートナーシップを積極的に使うことで、市場経済への移行期にある国々は、炭素削減を競争上の強みに変えることができるということを示したのである。

非政府組織と企業によるパートナーシップが持続可能性を確保できるのは、結局のところ、それが参加企業・パートナーの絶えず変化する環境ニーズに対 応・適応できる能力を持ち、関係各社を支援して炭素排出の影響削減と競争力の向上を実現できるからである。そうすることでクリーンビジネスは、気候変動の 影響緩和に有益なパートナーシップになっている。さらに、「新市場におけるビジネスインフラ整備を、多国籍企業が支援することを可能にする良い方法だ」と コックスは語っている。

 

緩和パートナーシップ:クリーンビジネス

  • 事業を縮小することなく炭素排出量とコストを削減する
  • ポーランドにおいてビジネスの問題として環境への意識を高める
  • 環境政策の制定のために公共部門を動員する
  • 参加企業が自社の環境パフォーマンスを評価・監視できるようにする
  • 5,000社を超える小規模企業を支援し、平均10%の炭素排出量削減を実現したと報告

 

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「クリーンビジネス」に参加するスラグ・リサイクリング社は、クラクフ市ノバフタ地区にあり、かつては欧州 最大だった製鉄所の廃棄物を建材に変換することを専門にする企業。建材は、例えば、これもクラクフ市にある欧州最大の中世風広場(写真)の再舗装に使用さ れる。その結果、輸送コストと環境への負担が軽減できる。地元で発生する廃棄物を新規の建設に使う資源へと変換するからだ (Courtesy Polish Environmental Partnership Foundation)

 

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クラクフにあるノバフタ製鉄所は、今も欧州最大級の製鉄所で、排出するスラグの山も世界最大である。同製鉄 所は現在、スラグ・リサイクリング社やマドロハット社など産業廃棄物を別の用途にリサイクルする「クリーンビジネス」参加企業のおかげで、ポーランドのイ ンフラ整備に使う資源の供給源として役立っている(Courtesy Polish Environmental Partnership Foundation)

 


※本稿に示された意見は、必ずしも米国政府の見解あるいは政策を反映するものではない。


出典:eJournal “Climate Change Partnerships”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。


 

 

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Clean Business Partnership Promotes the Economics of Mitigation