国務省出版物
21世紀の農業 – 自然 + 科学 = 新しい作物
自然+科学=新しい作物
C・ピーター・ティマー
今から約6000年前、考古学上の証拠によると、先史時代の南北アメリカ大陸の農民はトウモロコシの異種交配により、本来は少数の植物にしか存在しない、望ましい形質をもった作物をつくり出した。それから何千年も経って、19世紀のオーストリアの司祭、グレゴール・ヨハン・メンデルは何万個ものエンドウ豆を使って実験を行い、植物の異種交配に関する法則を特定した。メンデルの研究の意義が正しく評価されたのは、「メンデルの遺伝法則」が、遺伝学という新しい科学にとって1つの基準になった20世紀初めになってからであった。
今日、世界の主な食用作物のほとんどは交雑種から育てられている。バイオテクノロジーの出現と遺伝子組み換え生物(GMO)の創出に伴い、遺伝科学は進歩を遂げた。こうした技術には議論の余地があり、強硬な反対論者もいるが、多くの尊敬に足る科学者は、より少ない肥料と水で、より多くの収穫を遺伝的に確保できる植物の開発は、将来の食糧需要を満たすのに必要であると主張している。
遺伝子工学をめぐる議論がどのよう形で決着するにせよ、人間には植物種操作の長い歴史があり、それが現代の食生活に豊かさと多様さをもたらしていることに、疑いの余地はない。
この写真にある各種の食用の「静物」はすべて、ある生物の遺伝子を別の生物に挿入し、第1の生物の望ましい属性を第2の生物に与える遺伝子工学のプロセスを経て生産されたもの。米国農務省(USDA)の報告によれば、このプロセスの利用やテストが行われている作物が大幅に増えている。(CourtesyofStephenAusmus/USDA))
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トウジンビエは、熱帯の半乾燥地域に住む人々の主要農作物。インド南部にあるこの畑のトウジンビエは、遺伝子組み換えにより、収穫に壊滅的な打撃を与える可能性のある病気に対する耐性を備えている。 |
©APImages/JohnMoore ギャラクシーピーチ(桃)。形が平たいことから、ベーグルピーチの名でも知られる。米国農務省農業研究局が10年をかけて開発した新品種で、甘みが強く実成りも良いため、自宅の裏庭などを利用して園芸を楽しむ人たちに人気がある。 |
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中国雲南省の試験農場。さまざまな品種のイネを植え付け、どの品種がこの地域固有の環境条件に最も容易に適応するかを調べる。適応能力が高く、その結果、生産量が多くなる品種を植えることによって収穫量が増え、農民の暮らしは大幅に向上する。 |
©APImages/TheWinchesterStar/ScottMason 時季遅れの寒波の後、「プルオット」の花の霜害を調べるバージニア州の果実栽培業者。プルオットは、プラムとアプリコット(アンズ)を3対1の比率で交配することによって開発された果実。「アプリウム」は、プラムとアプリコットの遺伝物質を1対3の比率で混合した、遺伝子組み換え果実。プルオットとは外観と味が微妙に違う。 |
©APImages/GaryKazanjian
カリフォルニア州の出荷プラントで包装ラインを転がるネクタリン。ネクタリンはピーチの自然突然変異体で、遺伝子は1つ違うだけだが、その違いによって、ネクタリンの方がなめらかな皮を持つ。ピーチは中国原産と考えられているが、今から2000年も前に、交易商人によって西欧に伝えられた。 |
©APImages/KentGilbert コスタリカのブリビ・インディアンは、コスタリカ大学の研究者が開発した新しい農法と病害に強い作物品種を取り入れている。 |
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ギニア共和国のキンディアにある市場で、ネリカ米(「アフリカのための稲の新品種」から取れた米)を売る人々。研究者は、アフリカ在来の稲の品種を別の品種と交雑させることによって、この高収量の品種を開発した。この稲の導入によって、農家は売却用の米の収穫量が増え、収入も増加した。 |
CourtesyofJackDykinga/USDA 植物生理学者のアタナシオス・テオロギスはトマトの成熟遺伝子を分離してそのクローンを作った。この遺伝子を操作することによって、テオロギスらは「エンドレスサマー」というトマトの新品種を開発した。この品種は、トマトの実を、十分な風味と歯ごたえが出るまで枝につけたままにしておいても、スーパーマーケット搬入時に、食べごろの状態を保っている。 |
出典:eJournal”21st-CenturyAgriculture”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。