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21世紀の農業 – 「隠れた飢餓」に苦しむ人々に栄養を

「隠れた飢餓」に苦しむ人々に栄養を

将来にわたって世界の食糧需要を満たしていくには、世界中の農業生産者の生産能力と創意工夫が試されることになるだろう。食糧需要を満たすというこ とは単に量だけの問題ではなく、その質が問われる問題でもある。国連食糧農業機関(FAO)の2009年の試算によると、肉、卵、牛乳、野菜など栄養豊富 な食品を十分に摂取できない状態にある人々が世界には10億人以上もいる。

この問題の解決に取り組む団体の1つ「微量栄養素イニシアティブ」は、栄養不足状態を「隠れた飢餓」と呼んでいる。同団体のウェブサイトは、「隠れた飢餓が蔓延すれば、家庭、地域、そして国全体が、健康障害と貧困の悪循環に陥ることがあり得る」と説明している。

適切な成長を促す主要ビタミンや栄養素が幼少期に不足すると、その子どもは一生にわたって障害を背負っていくことになりかねない。

wwwj-ejournals-agriculture8a「ハーベストプラス」のパイロットプロジェクトで、現在広く栽培されている品種に比べ、ビタミンAを多く含 んでいるサツマイモを栽培するウガンダの女性たち。この主食のビタミン含有量を高めることで、人々を感染症や失明の危険から守ることができる (Courtesy of Anna Marie Ball/HarvestPlus)

今日から将来にわたって、世界中の人々に栄養豊富な食糧を十分に供給することができれば、それは最も望ましい解決策だが、それは最も難しい解決策で もある。その他の対策としては、ビタミン剤などの栄養補助食品の配布や、ヨウ素添加塩、ビタミンD・カルシウム添加牛乳などの栄養強化食品の提供が挙げら れる。こうした解決策は2009年、「行動を求める団結した呼びかけ」において、米国際開発庁や国連児童基金など、世界の多くの主要援助機関から支持され ている。

栄養不足の解決策としてさらに考えられるのは「バイオ栄養強化作物」で、より豊富な栄養素を蓄えた主要食糧を、品種改良によって作り出そうという試みである。

国際農業研究プロジェクトである「ハーベストプラス」では、問題の解決を目指し、アジアやアフリカで栽培されている7つの主要農作物の栄養価を高める研究を行っている。豆、キャッサバ、トウモロコシ、トウジンビエ、コメ、サツマイモ、小麦がその主要農作物である。

ハーベストプラスは、今年中にはバイオ栄養強化作物の初めての植え付けを行うことを目指している。子どもたちの半数が鉄欠乏症に苦しむ可能性があるルワンダとコンゴ民主共和国で、通常より鉄分を多く含む豆を栽培するため、品種改良が行われてきた。

ハーベストプラスは2011年から2012年までに、通常の3倍のビタミンAを含有するキャッサバを品種改良によって作り出し、正常な視力を保つた めに推奨されるビタミンA摂取量の約半分を、この作物で供給することを目標にしている。まだ開発段階ではあるが、2011年から2012年までには、バイ オ栄養強化したキャッサバが、ナイジェリアとコンゴ民主共和国で栽培される予定である。

 

 


出典:eJournal “21st-Century Agriculture”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

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Feeding the “Hidden Hunger”