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早わかり「米国の選挙」 – 選挙資金

選挙資金
 
ニューヨーク州知事選の資金集めのパーティで、支 持者と談笑するアンドリュー・クオモ(中央) (©Erik Freeland/CORBIS SABA)

ニューヨーク州知事選の資金集めのパーティで、支持者と談笑するアンドリュー・クオモ(中央)(©Erik Freeland/CORBIS SABA)

大統領と上下両院議員の公職に立候補する者(およびその政治的協力者)が資金を集める場合、その方法、調達先、金額は、連邦法により規制される。連邦選挙資金法は、州および地方自治体の公職選挙を規制する州法とは別個の法律である。

米国の選挙制度の中で、大統領候補者は有権者1億人以上を相手に運動を展開するために、数億ドルの資金を集める。資金調達は個人や民間の献金による場合が多いが、その調達方法と資金の使い道については厳しく規制される。

大統領候補者は政治委員会と呼ばれる運動組織を設立しなければならない。政治委員会は会計係を置き、連邦選挙委員会(FEC)に届け出なければならない。FECはその名称にもかかわらず、選挙資金法の取り締まりに当たるだけで、実際に選挙を管理するわけではない。(有権者の登録、投票の管理、開票は、州および地方自治体の選挙管理人が責任を持つ。)

 

さまざまなタイプの政治委員会がFECに登録する。候補者だけでなく、それぞれの政党の政治委員会もFECに届け出なければならない。その上、一般市民のグループも政治委員会をつくることができる。例えば、企業や労働組合や事業者団体などの個人が集まって、そうした政治委員会をつくることも多い(ただし、企業や労働組合の財政資金を使うことは禁止されている)。これらの政治委員会はしばしば政治活動委員会(PAC)と呼ばれるが、やはりFECに登録しなければならない。

共和党の上院議員ジョン・マケインは選 挙資金改革のために尽力してきた。何が望ましい 改革かという問題については、まだ議論が続いて いる (©Terry Ashe/AP/Images)

共和党の上院議員ジョン・マケインは選 挙資金改革のために尽力してきた。何が望ましい 改革かという問題については、まだ議論が続いて いる (©Terry Ashe/AP/Images)

登録がすめば、政治委員会は運動資金の調達を開始することができる。このような資金は、その用途も含めて、3カ月ごとに、または毎月、FECに報告される。この報告はコンピューターに保存され、FECのウェブサイト(www.fec.gov)で一般に公開されることもある。多数の民間組織が、候補者と政党とPACの寄付金と支出金を監視するために、ウェブサイトを維持している。この場合、重要なのは、それによって、どのグループがどの候補者やどんな主張に献金しているかを、メディアや有権者が知りやすくなるということである。個人や個々の委員会が、自分たちの支持する候補者に寄付できる金額は、法律により制限されている。従って、大統領候補者は、数億ドルの運動資金を調達するために、数千の寄付者を見つける必要がある。

 

候補者は選挙運動のために、スタッフを雇い、事務所を構え、遊説に行かなくてはならない。また調査を行い、政策方針書を発行し、ラジオ・テレビ、出版物、インターネットで宣伝し、おびただしい数の公式行事や資金集めのイベントに出席しなければならない。下院議員の候補者は、こうした活動を、特定の下院選挙区を本拠地として行い、上院議員の候補者は、州全体をまわって行う。(下院議員と上院議員は、ワシントンなど他地域で行われる資金集めのためのイベントにも顔を出す。)大統領候補者には、各州で実施される予備選挙の準備という大変な仕事があり、もし指名を受ければ、今度は全国をまわって総選挙に備えなければならない。

 

資金の公的補助

1976年以来、大統領選挙に立候補する者は、選挙運動資金の公的補助制度に参加できるようになった。2000年選挙までは、大統領候補の指名を受けた候補者は全員この制度に参加し、指定された限度額以上は使わないという誓約と引き換えに、公的資金を受け取った。しかし、この制度は候補者にとって次第に魅力に欠けるものとなってきた。支出限度額があまりにも低く、また、主な候補者が民間から簡単に資金調達できる額より少ないからである。その結果、主要候補者の多くは、公的補助制度に参加しなくなっている。

ひとつの選挙から次の選挙へ進むたびに、必然的に支出は増えていく。候補者の支出に加えて、政党やPACやその他の関係団体も、資金を使って選挙に影響を与えようとする。最近の選挙資金集めで見られる新しい展開は、例えば、米国税法の条項の名前をつけた「527条政治団体」である。これらの団体は主として、連邦または州・地方自治体レベルの公職者の選定、指名、選挙、または任命に影響力を及ぼす目的で結成される。MoveOnやSwiftboat Veterans for Truthといった527条政治団体は、連邦選挙委員会や州選挙委員会によって規制されず、またPACのように寄付制限を受けない。こうした政治団体や類似の組織に対して長年批判している人びとに言わせると、米国の選挙費用はきわめて高く、その費用が民間の資金源への依存と結びついているため、富裕な献金者と強大な利益団体が社会政策に不当な影響力を及ぼすという不安を引き起こしている。

これまでさまざまな改革案が提起されてきたものの、選挙に伴う費用は、今日の経済活動における物価やサービス対価に見合っているという意見に阻まれてきた。この場合、選挙費用は、民主主義が選挙戦に支払う代価であり、利益団体による多額の寄付や支出は、米国の長年にわたる多元主義の現代的表現であると見なされている。利益団体と政府の政策との特定の結びつきを証明するのは難しい。裁判所も、これ以上選挙の寄付や支出に制限を加えるのは、政治分野における献金者の、憲法で保障された言論の自由を、過度に制約することになりかねないと、疑問を呈している。現代の選挙運動には莫大な費用がかかることを考慮して、公職に就くために自前の資金で選挙に打って出る大富豪も若干いるが、それを禁止する規則はない。そうした大富豪は、勝つこともあれば負けることもある。

政治活動委員会はさまざまな方法でロビー活動や資金集めを行うことができる。電 話をかけて有権者を動員したり… (©Andy Kropa/The New York Times/Redux Pictures)

政治活動委員会はさまざまな方法でロビー活動や資金集めを行うことができる。電話をかけて有権者を動員したり… (©Andy Kropa/The New York Times/Redux Pictures)

…あるいは画廊などで資金集めのパーティを開く(©G. Paul Burnett/The New York Times/Redux Pictures)

…あるいは画廊などで資金集めのパーティを開く(©G. Paul Burnett/The New York Times/Redux Pictures)


出典:USA Election in Brief
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。</p

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