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早わかり「米国の選挙」 – 連邦議会議員の選挙

連邦議会議員の選挙

 
ロードアイランド州の 連邦議会選挙で、上院 議員に当選して全身で 喜びを表す民主党のシ ェルドン・ホワイトハ ウス。連邦議会両院の 議員は、強力な権限を 持つ (©Brian Syder/ Reuters)

ロードアイランド州の連邦議会選挙で、上院議員に当選して全身で喜びを表す民主党のシェルドン・ホワイトハウス。連邦議会両院の議員は、強力な権限を持つ (©Brian Syder/ Reuters)

 

連邦議会議員の選挙は大統領選挙に劣らず競争が激しく、また大きな影響力を持つ。それは連邦議会が法律制定の中心的役割を果たすからである。

議会から首相を選出する議院内閣制とは異なり、前述したように、米国の制度では立法府と行政府が独立しており、大統領と議員は別々に選ばれる。在職中の大統領が連邦議会に法律を提案することもあるが、その場合、議会で大統領に協力する支持者がその法案を起草しなければならず、議会で可決されて初めて、大統領は署名を入れることができる。連邦議会の上下両院は、法的にも政治的にも大統領の意志に拘束されない。 

米国方式の議会では、議院内閣制の議会に比べると、党規はそれほど厳格に守られない。連邦議会議員にとって、次の選挙で再選を果たすための方策も含めて、自分が最善と思える政策に票を投じるのは、それほど難しいことではない。その結果、議会の指導者たちは、党規で厳しく統制された党から自動的に支持を得ることは期待できないので、議員一人一人に呼びかけて支持者の連合をつくらなければならなくなる。従って、議会での法案成立には常に困難が伴う。このように、強大な権力を持つ連邦議会の議員選挙は、国民にとっても議員個人にとっても重要な意味を持ち、かつ予測が難しい。

 

 

下院と上院の違い

下院と上院はほぼ等しい権力を持っているが、選出方法はまったく異なる。米国の建国者たちは、下院議員に国民の近くに身を置かせ、国民の要望や念願を国政に反映させようとした。それゆえ、小さな選挙区から多くの議員を集めるために、下院の議席数を比較的多くし、短期間(2年)で改選するように定めた。最初は2年でも長すぎるという考えもあった。移動手段が馬しかなかった時代には、ワシントンで2年の任期を務めれば、選挙民から2年間離れたままということもあるからだ。今日では、議員たちの懸念はむしろ、2年ごとに選挙があるため、毎週のように週末には 選挙区に飛んで帰って政治的支援のてこ入れをしなければな らないということにある。

リンダ・サンチェス(中央)とロレッタ・サンチェスに宣誓就任させる下院議長ナ ンシー・ペロシ(左)。2人は姉妹で、共にカリフォルニア州から下院議員に選出された (©Susan Walsh/AP Images)

リンダ・サンチェス(中央)とロレッタ・サンチェスに宣誓就任させる下院議長ナンシー・ペロシ(左)。2人は姉妹で、共にカリフォルニア州から下院議員に選出された(©Susan Walsh/AP Images)

下院議員は独特の地域別選挙区を代表しており、前述したように、各議員はその選挙区の唯一の代表として相対多数によって選ばれる。50州の各州に、下院で最低1議席が保証されており、残りの議席は各州の人口に応じて振り分けられる。例えば、アラスカ州は人口が少ないので下院には1議席の枠しかないが、最も人口の多いカリフォルニア州は53議席を持つ。各州に割り当てられる議席数は、10年ごとに実施される国勢調査のあと、過去10年間の人口の変化を考慮して再計算される。各州議会は、配分し直された議席数と州内の人口移動の変化に応じて、州内の選挙区の範囲を定めなおす。

上院は、議員がより広い選挙区(州全体)を代表し、人口の多少にかかわらず各州が平等の代表権を持つように構想された。従って、上院では、小さな州が大きな州と同じ影響力(2議席)を持つ。

当初、上院議員は州議会が選んでいた。各州の有権者が直接選ぶようになったのは、1913年に憲法修正第17条が制定されてからのことである。各州には2名の上院議員がいる。任期は6年だが、2年ごとに全体の3分の1が改選されるため、任期満了時期が少しずつずれる。上院議員は州の選挙民の相対多数により選ばれる。

 

 

党への忠誠か、個人への忠誠か

建国者たちは連邦議会の上院が保守的な安定勢力になることを意図した。写真撮影 のためにポーズをとる100名の上院議員 (©U.S. Senate Historic Office)

建国者たちは連邦議会の上院が保守的な安定勢力になることを意図した。写真撮影のためにポーズをとる100名の上院議員 (©U.S. Senate Historic Office)

かつては、多くの有権者が長期間ひとつの政党を支持し、党の方針に従って投票する傾向にあったので、連邦議会議員選挙は「党中心」になりがちだった。議員の人格や実績が有権者の支持に加味されたり差し引かれたりすることは、あったとしてもほんのわずかだった。ところが、ここ数十年で、以前と比べて候補者個人の考え方や人格が選挙戦の中心をなすようになり、党に対する忠誠の重要性が幾分薄れてきた。

実際、1960年代以降、国政選挙は次第に候補者中心になっている。メディアとインターネットの発展、積極的な選挙資金集めの重要性、頻繁に行われる世論調査、その他の現代的選挙運動のさまざまな要素により、有権者が候補者を個人として意識することが多くなっているのだ。その結果、有権者は投票の際、党に対する支持とともに候補者個人の長所・短所を重視する傾向が出てきた。20世紀初めに広範な公教育が確立し、第2次大戦後には高等教育が定着したことも、有権者が以前より自分の判断に自信を持ち、党にさほど手掛かりを求めずに投票の選択をするようになった要因である。

このような候補者重視の選挙を背景に、連邦議会の現職議員は好成績をあげ、90パーセントを優に超える再選率を誇っている。これは、ひとつには、往々にして当り障りのない連邦議会のマスコミ報道と、とりわけ州や下院選挙区の地方メディアによる個々の議員についての報道によるものである。一般的には有利になるこうしたメディア露出と、社会政策問題への不断の関与、それに政策に影響力を発揮したい個人ないし団体の存在もあって、現職議員は新人よりはるかに選挙資金を集めやすい。このような理由と他のさまざまな理由によって、所属政党に関係なく、現職議員が再選される可能性は非常に高い。

 


出典:USA Election in Brief
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

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