国務省出版物
21世紀の農業 – 農場から新鮮なまま食卓へ
農場から新鮮なまま食卓へ
2007年「世界食糧賞」受賞者
紙パック入りのスープやミルクやジュースを飲んだことがある人なら、2007年の世界食糧賞に輝いた業績がどんなものか分かるだろう。無菌(衛生) 食品加工技術によって、先進国の消費者は紙パック入りのジュースをピクニック用バスケットに入れて持ち歩くことができるようになった。しかし、農産物を保 存し、腐敗を防ぎ、安全で栄養価の高い食品の利用可能性を高めるのにも、同じ方法が使われているのである。
フィリップ・E・ネルソン博士は「生鮮青果物の衛生的な大規模貯蔵と輸送の分野で……食品産業に革命をもたらした創造的な画期的技術」を開発した、 と世界食糧賞の表彰状には書かれている。無菌食品加工により、ジュースその他の液体食品をパック詰めにして、世界のどこへでも大量輸送することが可能に なった。
その仕組みはこうである。例えば、果物をジュースにするように、植物生産物または動物生産物が加工されて食品になると、ネルソンが考案した処理プロ セスでは、その食品とパッケージを殺菌し、食品をパッケージの中へと移す。こうして作り出された物は、安全で安定した製品であり、冷蔵する必要もなく容易 に輸送可能なだけでなく、相当な貯蔵期間を経たのちに市場に出荷したり消費者が使用したりすることができる。
このプロセスでは、食品を細いパイプに通し、その中で急速加熱して殺菌し、次に、鮮度を保つため急速冷却する。ネルソンがこの革新的な仕事に取り掛かったのは、インディアナ州のパデュー大学の教員時代であった。このプロセスは当時すでに開発されていたものだが、ネルソンはそれを大陸間輸送用の容量 50万ガロン(約190万リットル)のコンテナにまで適用可能な、大規模な利用方法を発見したのである。
開発途上諸国の一部地域では収穫量の実に50%が腐敗で失われる場合もある。ネルソンの手法は、そうした国々に恩恵をもたらした。無菌食品加工はま た、開発途上世界での給食・栄養プログラムを拡大するうえでも、また2004年のインド洋大津波などのような災害の際、被災地域への製品の大量輸送を容易 にするうえでも、不可欠な技術となっている。
ネルソンは現在、インディアナ州ウエストラファイエットにあるパデュー大学の食品科学部で食品加工学ショリー基金教授を務めている。
出典:eJournal “21st-Century Agriculture”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。