国務省出版物
21世紀の農業 – 食糧チェーンをつくる鎖の輪
食糧チェーンをつくる鎖の輪
M・ビジャヤ・グプタ、フィリップ・E・ネルソンとのインタビュー
未来の人口を養うのに十分な食糧を産出することは、今日の人類がいやおうなしに直面している緊急課題の1つである。「世界食糧賞」は毎年、「世界の 食糧の質、量、供給力を向上させて人類の発展に貢献した」人物に授与される。同賞は1986年に創設されて以来、強い作物の開発や、休閑地の生産性を引き 上げる技術の開発など、農業のさまざまな分野で成果を上げた多様な個人の業績をたたえてきた。人類は将来見込まれる食糧需要を満たす手だてを見出さなくて はならないが、世界食糧賞の受賞者は、その仕事に取り組む最適任者に数えられる。以下に掲載するのは、同賞を受賞した2人の科学者が示す見解である。
インド人のM・ビジャヤ・グプタ博士は、水産養殖振興への取り組み「ブルー・レボリューション」(青の革命)のリーダーの1人として、2005年に 世界食糧賞を受賞した。グプタ博士が開発した養魚方式は、100万世帯以上の食事のタンパク質とミネラルの含有量を増大させた。一方、米国人のフィリッ プ・E・ネルソン博士は、生鮮青果物の衛生的な大規模貯蔵と輸送の分野で食品産業に革命を起こす技術的躍進を遂げ、2007年の世界食糧賞に輝いた。
優れた技術能力と農業技能が結合すれば、多くの面で前進が期待できる。すなわち、食糧はより豊富になり、その多くが健康の増進に役立つものになり、 しかも、この豊かさをより多くの人々がグローバルな市場で享受することが可能になる。さらに言えば、農業は新しい形のクリーンエネルギーを実現する鍵を 握っている。
問:既存の技術を使って世界の食糧生産を増やそうとするとき、近い将来に取れる行動の中でいちばん効果的なのは何だとお考えですか。
グプタ:最も効果的で現在求められている行動は、先進国から開発途上国に向けた技術移転と資金の移転だと思います。短期間での生産増大を目指すなら、それがいちばん重要な行動でしょう。技術の移転と、開発途上国でそうした技術を実行するための資金援助が必要です。
現在のところ、大半の開発途上国の農業生産は、先進国のレベルに達していません。生産から販売までの各段階で適切な技術がなく、政府が開発プロジェ クトを実施するために必要な財源も不足しているからです。開発途上諸国には、短期間で食糧生産を増やすための生産技術の改良が必要なのです。特にバイオテ クノロジーや遺伝学を活用した技術や、過大な特許使用料を伴わない改良種子などが必要です。
ネルソン:技術移転については私も同感です。私たちが本当に取り組まな くてはならないのは、食糧チェーン全体に目を向けることだと思います。生産は極めて重要です。けれども、作物を収穫してから消費者に届けるまでの保存も非 常に重要なのです。食糧チェーン全体の流通システムに目を向けることで、今すぐ大きなインパクトを与えることができる。私はそう考えています。
問:食べるものが十分にない人は、世界で10億人いると推定されていま す。世界全体では十分な量の食糧が生産されているが、必要とする人すべてには行き届いていないのだと聞いています。お2人がおっしゃっているのは、そうい う問題ですか。つまり、流通や貯蔵が改善されれば、飢餓問題は解決できると。
グプタ:そうですね、貯蔵の問題はありますね。輸送と貯蔵の過程でかな りのロスがありますから。しかしそれだけでなく、十分な量の食糧を生産することも必要です。また、貧困問題の存在を考えれば、人々が食糧を入手できるかど うかということも懸念されます。インドでは、食糧生産に余剰が出る年もあります。しかし政府には、モンスーンの雨季の間に余剰農産物を貯蔵しておくサイロ が十分にないのです。一方には余剰農産物があり、もう一方には、購買力がないために飢えて死んでいく人たちがいるのです。
ネルソン:そのとおりですね。私たちが誤解してしまう1番大事な点ですが、栄養失調は恐らく貧困によってもたらされるのです。ですから、貧しい人たちに資金を渡し、流通を確保すれば飢餓と空腹をかなり減らすことができるのです。
グプタ:今起きているのは、開発途上国での飢餓と空腹の問題です。食糧 が不足している国には食糧援助が行われています。しかし、そうした国の中で、またはそうした国がある地域で、農業生産力を伸ばさなくてはなりません。それ が、人々の生計を立て、雇用機会を生み出し、手の届く価格の食糧を生み出すことにつながるのです。ここに着目しなければなりません。先進国で農作物を栽培 し、高い費用をかけて開発途上国まで長距離輸送することにばかりに目が向いていてはいけないのです。
ネルソン:100%同感です。確かに、国連世界食糧計画のような機関、 その他の支援機関の必要性がなくなることはないでしょう。今年に入ってからもハイチが災害に見舞われましたが、自然災害はいつでも起こり得るし、政情不安 もあるし、破壊的な不測の出来事だってありますから。そうした緊急の食糧援助が不要になることはありません。しかし、地元コミュニティーに農業を確立し て、栽培したものを地元でさばけるよう市場を開発する必要があるのです。
問:さて、それぞれの専門領域での進展に話題を変えますが、グプタ博士、小規模の水産養殖ベンチャーはさらに拡大していますか。
ネルソン:全くそのとおりです。私の仕事はもともとアジアに集中してい ましたが、同じ技術、手法が今やアフリカ諸国に移転されつつあります。アフリカ諸国にとって主要な懸案となっているのは、世界の水産養殖生産高の9割をア ジアが占めていることです。そこでアフリカでは、アジア諸国で暮らす人々の社会的、経済的、文化的な側面を考慮に入れもせず、ただ、養殖の技術をアジアか ら取ってきてアフリカに移植しようと、多大な労力をつぎ込んできました。そして、この努力は失敗に終わったのです。援助国側は、これまでに何百万ドルとい うカネをこれらのアフリカ諸国に投入しました。これが過去の過ちです。
私の研究は、それぞれの地域社会と密接に連携して技術開発を始めることに的を絞っています。開発を始めるにあたっては、まず、その地域社会の社会的背景、経済状況、文化的側面を理解しなければなりません。その上で、その地域社会に適した技術を開発するのです。
私たちが着目した第2の側面は、小規模農家が、裏庭の池で育てた魚を食べることで、自分たちの栄養状態を改善することができるような養殖魚の生産で した。初めのうちは、農民が自ら育てた魚をもっと消費するようになって健康の増進につながるだろうと考えていました。しかしこの想定は、研究の初期段階に おける誤りでした。小規模農家は現金経済に目を向けていたのです。食べる魚の量を増やすこと以外にも農家のニーズはたくさんありますから、欲しいのは現金 収入なのです。こうして、研究を進める中で、自宅の池で育てた魚を含め、小規模農家の生産する魚の8割から9割は、高値で売れる市場に出荷されていたこと が分かったのです。得た現金で、自分たちが消費する魚として値段の安い干物やその他の必需品を買うのです。しかし、それが結局は栄養状態の改善につながっ ています。庭の池で育てた魚を食べているからではありません。庭の池を使った魚の養殖で得られる現金収入があるからです。
今では、以上のような状況を考慮に入れて仕事を進めています。地元の人々や市場のニーズをしっかりと把握し、貧しい家庭に現金収入をもたらすような技術を開発するのです。
問:ネルソン博士、ご専門の貯蔵・保存技術を水産養殖業者の生産物に応用して効率を高められるとしたら、どんな方法が考えられますか。
ネルソン:グプタ博士のなさっている仕事には胸が高鳴りますね。世界の 食糧安全保障に大いに貢献すると思えるからです。私は自分のプレゼンテーションの中で、中国のことわざを紹介する1枚のスライドを使っています。「人に魚 を1匹与えれば、1日食べていける。魚の取りかたを教えれば、一生食べていける」というものです。これに私はもう1行足します。「魚を保存することを教え れば、その人は、ずっと生きられるし、地域社会にも食べ物を供給して、いくらかのお金も手にすることができる」と。
これが私の活動の中心なのです。つまり、食糧チェーン全体の中のこの部分です。開発途上国の農民に、魚、穀物、果物、野菜を保存する手段、地元に市 場を発展させる手段を与えようというのです。多くの開発途上国、そして今では開発途上国の多くの大都市で、農水産物への需要が伸びています。開発途上国の 小規模農家が農作物を作り、輸送し、その需要を満たすすべを学べば、貧困と飢えの問題に大きなインパクトを与える機会が手に入るのではないでしょうか。
問:開発途上国の小規模農家には、往々にして、農産物を市場に運ぶためのまともな自動車がなかったり、市場までの通行可能な道路がなかったりします。こういう問題の克服を支援するうえで、援助国側はどんなことができるでしょうか。
ネルソン:チームワークが必要です。1つの側面だけに取り組んでもだめです。市場の開発とインフラの整備がなければなりません。これは確かに、単純な技術移転より複雑ですが、こうした各種活動がまとまって、効果をあげている良い例がいくつかあります。
例えばマラウイでは、「ミレニアム・ビレッジ」というプロジェクトが実施され、農業・水の保全・健康増進・教育の普及などを含め、村々に大きな改善をもたらしました。とはいっても、アフリカはまだ、インフラ整備のすべての面で世界に後れを取っています。
私たちは、そうした成功例を広めたいのです。これを実行するために、食品関連技術の開発と市場の拡大に重点を置いた国際センターを設置したいと考えています。多数の組織や団体から多くの支援を受けて、活動への取り組みに弾みをつけたいと願っています。
問:その良い例を1つご紹介いただけますか。
ネルソン:植物育種学者と共同で仕事をする中で、食品技術者がソルガム の変異種を見つけたのです。そのソルガムに含まれる1つのタンパク質が、小麦のタンパク質とかなり似た働きをします。セネガル人はバゲットが好きですがこ うした国では、地元の人たちの好みに合うパンを作るための小麦をすべて輸入に頼っているのです。私たちが今試しているアイデアは、見つかったソルガムの変 種を使って、輸入小麦の50%程度を地元栽培の小麦に置き換えられないかということです。そのやり方で、地元の人たちの気に入るバゲットが作れるのではな いかと期待しています。実現すれば、地元の農民にとって市場機会が増えることになりますし、セネガルの輸入小麦需要を減らせます。
食料品価格も世界の飢餓の要因の1つです。農産物を大量に輸入している場合には、そのことが問題を起こしますし、財源を消耗させてしまいます。
マラウイでは、女性たちと協力して小規模の起業集団を立ち上げ、作った農産品の販売面を改善しようと取り組んでいます。しかし今のところ、少人数のグループが10できている程度です。このモデルを1万倍に増やす必要があります。
問:グプタ博士、あなたの養殖技術を取り入れて村人の生活の質を全体的に改善できた例をご紹介いただけますか。
ネルソン:私がバングラデシュで手がけてきた仕事を例に取りましょう。 最初にバングラデシュに行ったのは、ずい分と前、1986年のことです。ご存じのように、バングラデシュといえば、1年のうち4カ月から半年くらいの間、 国土の3分の2が水につかります。水はいくらでもあるのに、魚はほとんどいない。国民の生活の中で、魚がいちばん大事な産物であるにもかかわらずです。バ ングラデシュは、毎年のように、洪水に見舞われます。ですから農村部では、地面を高くした土地に小さな家屋、小屋を建てて暮らしています。家を高くするた めに、家の周辺の土地を掘って土を集めます。その過程で小さな溝や池ができます。農村には、こうしてできた池や溝が何十万とありましたが、私が行ったと き、邪魔なだけの水生雑草のホテイアオイで覆われていて、何にも使われていず、蚊の繁殖地になっていただけです。どうやったらこうした小さな池を、家族に 栄養を提供する池として使えるか、私は考えたのです。
私は生物学者ですから、当時は田舎の生活様式、人々の文化、経済のことが分かっていませんでした。そこで、バングラデシュ国内で草の根レベルの活動 をしていた非政府組織(NGO)のいくつかと手を組み、世帯所得を増やし栄養補給の改善につながる水産養殖の導入を加速することにしたのです。この養殖技 術なら採算ベースに乗るとNGOが確信した時点で、私たちは村々を訪問し、まずは、村人たちを、そして彼らの文化、経済状況を理解しようと努力しました。 そして、投資リスクのない低コストの小規模技術の導入から始めました。それを村の池で試して、人々に実証して見せたのです。
多くの村を回って、1万人を超える農民に、養殖技術のデモンストレーションと「養殖場での」実地調査の協力者となってもらいました。こうして、使わ れていない池や道端の小さな溝から、4カ月から6カ月で、1ヘクタール当たり2トンから3トンの魚がとれることを実際に示すことができると、非常に大きな 反響が起こり技術の導入が始まったのです。
農村の水産養殖に革命をもたらし、農村部の人々の生計と栄養を改善した出来事だったと言えるでしょう。以上が私たちの第1歩でした。
次に、農村部の女性のほとんどが家庭内で働いていながら、外では職に就いていない現状に注目しました。そこでこう考えたのです。コストと投入資源の 少ない養殖に携われば、女性たちは、農業労働者などとして働く夫の収入に上乗せとなる収入を得て、世帯収入を増やすことができるだろう。そこで私たちは女 性たちに呼びかけ、仕事を教えました。NGOも無担保のローンを提供して応援してくれました。これが非常にうまくいき、今ではバングラデシュの農村部で水 産養殖に携わる者の約6割が女性です。
こうして、世帯所得は増えましたし、女性の地位も、家庭内だけでなく社会全体の中で向上しました。それまでは女性は、単なる労働者にすぎなかったのです。
かつて、バングラデッシュのNGOの1つが広告に使っている1枚の絵を見たことがあります。描かれているのは、12本の腕を持つ1人の女性。その1 本で赤ちゃんを抱き、別の1本で家の掃除をしています。料理をする手あり、薪(まき)を割る手もあり。別の手もさまざまなことをしていました。その絵には 「私の妻は働かない」という題がついていました。何から何まで妻がやっているのに!にもかかわらず、現金収入をもたらさない限り、働いているとみなされな い。だからこそ私たちは、投入資源が少なくて済む技術で、女性たちを参加させて、表に出したのです。仕事を習って自信をつけると、女性たちはもっと高収益 につながる集約的生産技術の導入を望みました。今では、養殖よりもお金になる魚類種苗生産(ふ化場で行うような魚の管理飼育)に携わる女性もいます。
私がバングラデシュを訪れたとき、水産養殖の生産高は10万トンに達していませんでした。今では100万トンに迫る勢いです。生産高が増えているというだけでなく、収入を得る機会の乏しい農村地域社会で生計を築く手段となっているのです。
問:政治的要因も食糧安全保障に影響する場合があります。政策が生産を促進したり、逆に阻害したりもします。そして世界には、国民が栄養足りて健やかな状態にあることを重視しない政権があることも確かです。政治的な問題による飢餓の助長を、どのようにお考えですか。
ネルソン:私は科学者、技術者ですから、その質問は別の人に向けたほう がいいでしょう。しかし確かに、アフリカを中心に世界のいくつかの地域では、それが大きな障害となっています。政治がもたらす障害にどんな手が打てるか、 それは状況が変わった国を見てみれば分かります。マラウイはいい例です。またインドでも、農作物を保存して流通させるための方法として、政府が加工技術の さらなる開発に力を入れ始め、新たな再生の時期を迎えています。政府は状況を大きく変える力を持っているのです。
ネルソン:私たちは技術にばかり目を向けるのではなく、農民が支払う調 達価格にも着目しないとなりません。豊作だと農産物の相場が下がって、農民は利益を得ることができません。肥料や殺虫剤など投入資材のコストが上がりつつ ある一方で、生産する農産品には保証価格や最低価格がありません。私の祖国で実際に起きたことです。豊作で市場価格が下がり、農民たちは作物の生産にか かった費用を回収できなくなってしまうのです。
こうした事情から、食糧生産に携わる農家が、時には食用作物の生産から手を引いて、綿花やタバコ、サトウキビなど商品作物の生産に切り替えることが あります。ですから政府は、農民に最低価格を保証する必要があります。それが、農民に健やかな暮らしをもたらすことにつながるのです。
問:今日の世界の農業に難題を突きつける、重大な未知の要素は、気候変 動が今後及ぼし得る影響です。どのように予想されているか、少しお伺いしたいと思います。グプタ博士、バングラデシュに話を戻しましょう。気候変動の結果 として海面の上昇が予想されていますが、バングラデシュは特にその影響を受けやすい、低地の国ですね。
ネルソン:気候変動が農作物に及ぼす影響については、これまでに多くの 策が講じられてきました。しかし魚に及ぼす影響ついては、あまり情報がありません。それでも、海洋で起こり得る変化を考えれば、捕獲漁業には大きな影響が 出るでしょう。地球温暖化は魚の多様性、分布、数量に変化をもたらすでしょう。気候変動、地球温暖化の結果、海水の酸性化が起こり、エビや牡蠣や二枚貝な ど殻を持つ生物が影響を受けるでしょう。ある程度、養殖にも影響が出ます。そこで、塩分に耐性のある魚種の開発を研究しているところです。気候変動のイン パクトを和らげるために、まだまだ手を打たなくてはなりません。
問:ネルソン博士、食糧チェーンの中の、加工と保存の部分では、どんな気候変動対策が取られていますか。
ネルソン:気候変動は、遺伝学者や植物育種業者に、干ばつや温度の低下 に耐えられる品種の開発を迫っています。これは生産チェーンの中で極めて重要な部分であり、この種の活動なしには、重大な影響が出ることは避けられないで しょう。その一方で、気候変動にともない、生産地域に違いが出てくるでしょう。農作物の生産には、それに適した温度と気候がありますから、生産物を動かす なかで、物流を増やすことが必要になるでしょう。
ここパデュー大学で国際センターの設立に着手しているということは先ほど申し上げました。設立資金の提供もある程度受けました。センターが重点を置 くのは、技術と市場の開発、および、世界の中でも人々が飢餓の脅威にさらされている地域での、農産品の損失の削減です。私たちは、食糧チェーンのうちのこ の領域に世界の注目を集め、飢餓を減らし、食糧安全保障を高める必要があると考えています。
ネルソン:農民の暮らしを改善することも、問題解決の一部であるべきだ と私は考えます。貧困と飢餓を減らすことができなければ、食糧生産だけでは問題の解決策にはなりません。そこで私たちは、生計を立てる手段を創り出し、農 村地域社会の人々の暮らしを改善するという観点から、この仕事に取り組んでいます。
本インタビューで表明された意見は、必ずしも米国政府の見解や政策を反映するものではない。
出典:eJournal “21st-Century Agriculture”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。