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最良の燃料としてのエネルギー効率 – 環境への配慮の強化へ向かう大手石油会社

環境への配慮の強化へ向かう大手石油会社

 

パトリック・クロウ

大手石油企業各社のエネルギー効率化についての立場は、それぞれが持つ独自の企業性格を反映している が、各社に共通する点も多い。エクソンモービル、シェブロン、シェル石油、コノコフィリップス、および米国BPは、程度の差こそあれ、いずれもエネルギー 効率化と代替燃料(バイオ燃料、太陽光、風力)の利用を支持している。

エクソンモービルは、その保守的な経営手法に合わせて、環境への配慮と いうお題目の全面的な受け入れに手間取ったようだが、現在ではそれに賛同している。去年の連邦議会公聴会で、エドワード・マーキー下院議員(民主党・マサ チューセッツ州選出)は、他の石油大手4社が太陽光、風力、バイオディーゼルなど代替エネルギーの開発に35億ドルを使ったのと同じ期間に、エクソンモー ビルは再生可能燃料の開発に抵抗していたと非難した。

エクソンモービルの会長兼最高経営責任者のレックス・ティラーソンは、2008年にマドリードで開かれた世界石油会議での講演で、同社がエネルギー 効率化に取り組んでいくという約束を確認した。彼はこう述べた。「エネルギー効率化は、先進的な技術を利用したり、エネルギー利用に当たって常識を生かし たりしながら、エネルギーを賢明に使うことです。つまり、同じことあるいはそれを上回ることを、より少ないエネルギーですることです」

エクソンモービルのスポークスマン、クリス・ウェルベリーはこう語った。「エネルギー効率化は、私たちが進めているすべての広告・広報活動の重要な要素になっています」

シェルは早くから代替燃料の活用とエネルギー効率化を支持してきた。 2007年には、環境保護を重視する「持続可能性報告書」を作成し、容易に入手可能な石油と天然ガスはおそらく2015年以降、需要に応えることができな いだろうと予測した。報告書はこう述べている。「この需給ギャップを埋めるには、世界がエネルギーをより効率的に使うとともに、他のエネルギー源の利用を 増やす以外に方法はない」

シェルでは、最高経営責任者のイェルン・バン・デル・ベールが先頭に立って、代替燃料分野における冒険的事業を推進している。「持続可能な開発は、すべての人々の未来にとって、また会社の成功にとって、決定的な重要性を持っている」と彼は報告書内の一文で述べている。

シェルのスポークスマンはeJournal USAにこう語った。「シェルでは、私たちが直面するエネルギー問題に対処するため、利用可能なあらゆる解決策が必要だと考えています。これには、水素や 太陽光、風力、バイオマスなど、私たちがこれまでに投資してきた再生可能エネルギーが含まれます」

 

wwwj-ejournal-energy11dシェブロン社が「Will You Join Us?」のキャッチフレーズで進めている、エネルギー効率化プログラムのメディアキャンペーンで使われている広告のひとつ。(© Chevron Corporation. Used with permission.)

シェブロンは「Will You Join Us?」(一緒にやりましょう)というエネルギー効率化の広報活動を展開しているが、同社はその中で自らのエネルギー消費量を1992年以降27%削減し たと言っている。このキャンペーンは、消費者もエネルギー消費量を減らすよう促している。

シェブロンはホームページで、エネルギー効率化を図ることが、最も簡単、安上がりで信頼性の高い、利用可能な「新しい」エネルギーの調達法であると 説明している。「一晩コンピューターの電源を切っておくといった小さな行為が、エネルギーの大幅な節約につながることを理解すれば、人々は日常生活の中の 小さなことをちょっと変えてみようという気持ちが強くなると、私たちは信じています」

同社のスポークスマンであるモーガン・クリンクローによると、シェブロンのホームページ「Will You Join Us?」(http://www.willyoujoinus.com)への訪問数は2005年7月の開設以来、350万件に達しているという。「この キャンペーンは、エネルギー効率化と省エネについての対話を促進する上で、大成功でした」と彼はeJournal USAに語った。

wwwj-ejournal-energy11eガソリン車から水素駆動車への転換は、水素ガス供給スタンド網の整備にかかっている。このスタンドは、将来水素ガススタンドを大規模に経営する方法を学ぶため、BPがロサンゼルス空港に設置したもの。(© BP p.l.c.)

BPは、米国経済全体にエネルギー効率化・省エネ対策を義務付ける、温室効果ガスの排出量制限を大手石油会社の中で最初に支持した。

1997年5月、当時の最高経営責任者ジョン・ブラウンは、BPは気候変動が起こりつつあると信じており、自社の二酸化炭素排出量を削減すると述べた。当時、他の大手石油会社はいずれも、地球温暖化説を裏付ける証拠は不十分であると主張していた。

米国BPによると、同社は米国で最も多様性に富んだエネルギー源の品ぞろえを持っており、今後10年間に代替エネルギー開発プロジェクトに80億ドルをつぎ込む計画である。

BPは、同社の広報プログラムのひとつである「A+ for Energy」(エネルギーのためのAプラス)で、米国およびカナダの学校を対象に省エネ教育のための助成金を提供している。その目的は、幼稚園から高校 までの生徒にエネルギー問題を意識した考え方を身に付けさせることにあり、そのためのプロジェクトを提案するよう現場の教師たちに呼び掛けている。BPは 2004年以来、こうしたプロジェクトに1500万ドルを超える投資を行っている。

wwwj-ejournal-energy11fモンタナ州ビリングズにあるコノコフィリップスの精製所。優れたエネルギー性能により、米国初のエネルギースター認証を受けた。安全重視の取り組みでも評価されている。(Courtesy ConocoPhillips/Garth Hannum)

コノコフィリップスは、最初に二酸化炭素について拘束力のある排出制限 を提唱した大手米国石油会社は同社であると主張している。会長兼最高経営責任者のジム・ムルバは2007年4月、「私たちは、化石燃料の燃焼を含む人間の 活動が、地球の気候に悪影響を及ぼす可能性のある、大気中の温室効果ガス濃度の増加の原因になっていることを認めます」と述べた。

ムルバが率いる同社は、「米国気候行動パートナーシップ」という団体に参加している。この企業と環境グループの連合組織は、議会に法律の制定などをめぐる働き掛けを行っている。シェルとBPもこの組織のメンバーである。

コノコフィリップスは、スコットランドのセントアンドリューズ大学と提携して、環境問題への継続的に行える解決策に毎年贈られる賞を後援している。 またペンシルベニア州立大学と協力して、米国におけるエネルギーの開発・利用法改善に役立つアイデアに対しても賞を贈っている。

 

報告:パトリック・クロウ
 

出典:eJournal”EnergyEfficiency:TheFirstFuel”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

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