About THE USA

国務省出版物

« CONTENTS LIST

核兵器のない世界 – 若者が前面に出るとき

視点
若者が前面に出るとき

 

ヨハン・ベアガナース

核兵器のない世界に向けての前進は、世界の若者たちにかかっている。ヨハン・ベアガナース は28 歳でワシントンDC在住、モントレー国際大学院のジェームズ・マーティン不拡散研究センター研究員である。スウェーデンと米国の新聞で記者を務めた経験が あり、現在はフリーランスのライターでもある。

今日の世界の指導者は、核兵器のない世界を達成するという目標を、次の世代にすでに譲り渡している。世界各地の若者が政治的、文化的、社会的、知的 な運動の原動力となり、年長の世代が幻想だとして捨て去っていた目標を達成したことは、これまでにも多くある。核兵器廃絶という難題に取り組むため、若者 には単なる理想主義を越えた貢献が再び求められている。しかし、その方法は?

第1 に、これからの指導者は、教育と外国の若い世代との協力を通じて、過去の世界ではなく現在の世界がどうなっているかを理解することに努めなければならな い。核兵器をめぐる議論は、あいかわらず、冷戦時代のパラダイム(理論的枠組み)と核抑止力の有用性をめぐる時代遅れの主張によって毒されている。もし、 次世代の政策決定者が、現代の脅威に対処するに当たって核兵器の意味を再吟味しないのであれば、それは21 世紀の安全保障問題に立ち向かうのに、20 世紀当時の手段しか持っていないことになる。地上にある核弾頭を実体として削減するには、その前にまず、私たちの思考の中にある核弾頭の価値を削減しなけ ればならない。

 

wwwj-ejournals-nuclear11a1995 年に中国で撮影されたこの写真同様に、若者は現在も核兵器反対運動の担い手である(© AP Images/Greg Baker)

第2 に、核兵器の廃絶は人類すべてに関わることであるから、今日の若者は、自分たちがそれぞれの国の市民であると同時に、国際社会の一員であることを明確に認 識しなければならない。軍縮には信頼が必要であり、もし、自国の利益だけしか考えないことが国際政治における指導原理であるとすれば、軍縮の実現は困難で あろう。私たちは、祖先の対立や偏見が、核兵器のない世界という目標を挫折させるのを許すわけにはいかない。最後の核弾頭の破壊は、より広い、地球規模の 連帯が可能な時代になって、初めて実現するのである。

第3 に、世界の核兵器を完全に廃棄することの利点を主張するに当たって、若者は、意見の異なる人々を悪者扱いすることを控える必要がある。核兵器廃絶という最 終目標をめぐる意見の相違によって、まず核兵器の数の大幅削減を目指すという取り組みが、阻まれるようなことがあってはならない。その時の事情に応じて、 それに合った問題を議論するようにしよう。

核兵器のない世界を実現するための条件を作り出すチャンスがあるのは自分たちだけだと思うと、勇気づけられると同時に、後ずさりしたくなるような気 持ちにもなる。たとえ今日の若者が、生きている間に核廃絶を実現しなくても、その理由が、この大きな脅威に立ち向かうのに臆病だったから、あるいは、消極 的だったからであってはならない。私たちのすることが、次の世代に対し、21 世紀の幕開けに始まった核廃絶の取り組みを続けるよう勇気づける先例にならなければならない。私たちが核兵器のない世界を実現するための条件を作り出さな ければならなくなったのである。もし、それができれば、私たちの足跡は歴史に永遠に残るであろう。

 


本稿に示された意見は、必ずしも米国政府の見解あるいは政策を反映するものではない


出典:eJournal “A World Free of Nuclear Weapons”

*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

« CONTENTS LIST

Young People to the Fore

Young People to the Fore
Johan Bergenäs, Research Associate, Monterey Institute of International Studies
Progress toward a world rid of nuclear weapons depends on the world’s young people.