About THE USA

国務省出版物

« CONTENTS LIST

核兵器のない世界 – オバマの決意

脅威と約束
オバマの決意

エレン・O・タウシャー

「核兵器のない世界」を達成することについて語った人は他にもいる。オバマ大統領は、それを実現させようとしている。エレン・O・タウシャーは、軍備管理・国際安全保障担当国務次官である。

昨年4 月、オバマ大統領は、核兵器のない世界の平和と安全を達成するという野心的で大胆な政策課題を提唱した。同じ目標を明言した大統領は他にもいるが、オバマ大統領は、核兵器のない世界を目指して積極的に取り組んでいくことを明確にした。

同大統領は、核のない世界を実現するには、忍耐と粘り強さが必要であり、おそらく自分の生きているうちには実現さないであろうと述べた。しかし、目 標を目指す道程が、到達点と同じくらい重要になることもある。われわれがいま具体的な方策を取ることが、国際的な安全保障と安定を強化し、われわれの住む 世界をより安全かつ安心にし、将来取るべき措置の基盤を整える手だてとなる。

世界の2大核兵器保有国のひとつとして、われわれ、すなわち米国は、核兵器の数およびその突出した役割を減らす取り組みを率先して行う責任があることを認め、その責任を受け入れる。

一方で、米国は、安全で、厳重に管理され、信頼性のある核兵器を維持していく。われわれ自身とその同盟国、そしてわれわれの利益を守るという米国の コミットメントには、何の揺るぎもなく、敵対者は、われわれが今後とも自らを守り、侵略行為を罰するであろうことを知るべきである。

クリントン国務長官が述べているように、米国が自らの安全保障に必要なレベルを超える核兵器に固執しても、それは米国をより安全にすることにはなら ない。不必要な兵器を持ち続けても、われわれの安全を高めることにはならず、かえって他国に不安を抱かせることになる。また、一部の国に核兵器を追求する 口実を与える可能性があり、われわれがその他の国に対し、それを阻止する取り組みに加わるよう説得することをより困難にする。

米国とロシア

核兵器のない世界に向けたわれわれの旅は、すでに始まっている。世界最多の核兵器を保有する米国とロシアは、1991年の2 国間の「戦略兵器削減条約」(START)に代わる、法的拘束力のある合意を目指して交渉に取り組んでいる。戦略兵器の上限数を定めた同条約は、2009 年12 月に失効した。

新条約は、核戦力を検証可能なレベルに削減することを義務付けることで、米露相互の安全を高め、世界をより安定させるであろう。

オバマ政権はまた、1996 年の「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の批准を上院に求める。その理由は、CTBT が米国の安全保障の強化に資するからである。われわれにはこのことが分かっている。というのも、「核備蓄管理プログラム」に従事している米国の優秀な科学 者たちが技術を磨き、その技術はもはや核実験を必要としないレベルにまで達しているからである。

さらに、オバマ大統領は、米国は検証可能な「兵器用核分裂性物質生産禁止条約」(カットオフ条約:FMCT)の締結に向けた交渉を進めることを明言 した。世界にはすでに、核爆弾の製造に利用可能な物質があり余るほどある。われわれは、テロリストの手から守ることを心配しなければならないほどの量の核 物質を必要としていない。

5 月に開催される「核不拡散条約(NPT)」再検討会議では、不拡散体制の再活性化と強化を図るため、NPT 加盟国間の合意形成を目指す。分かり易く言えば、それは、核保有国であるか否かにかかわらず、各国が、危険な核技術の拡散を防止し、国際的な規範および合 意の違反者に対して一致団結して立ち向かうため、重要な役割を果たさなければならないことを意味する。

オバマ大統領は、核テロに焦点を合わせた取り組みを開始している。大統領はまた、闇市場の解体、移送中の探知・摘発、不法取引の金融手段による分断によって、すべての脆弱な核物質を4 年以内に安全な管理体制下に置くための国際的努力を呼びかけている。

 

wwwj-ejournals-nuclear1aプラハで核兵器廃絶に向けて取り組む決意を表明するオバマ大統領 (© AP Images/Charles Dharapak)

核サミット

2009 年9 月、オバマ大統領は、国連安全保障理事会の特別会合の議長を務めた。この会合では、核不拡散体制を強化するための包括的な措置をまとめた安保理決議第 1887 号が採択された。大統領はまた、核テロがもたらす脅威について共通の理解に達するため、2010 年4 月に「核安全保障サミット」を主催することを発表した。

一方、われわれは、米国の戦略戦力について、「核戦略見直し」を行っている最中である。これは、今日の安全保障上の脅威を抑止する上で核兵器が果たす役割について根本的な再評価を行うもので、その報告書は冷戦時代の考え方に終止符を打つ文書になりうるものである。

米国自身の安全保障を強化するため、この見直しでは、核兵器が存在する限りそれに対する効果的な抑止力を維持しながら、米国の軍事戦略および外交戦略における核兵器の役割を縮小する方針が打ち出されるはずである。

多くの国家または非国家主体が核兵器や核物質を入手する恐れがあると思われる時には、核の拡散は避けられないように見える場合もある。それでも、核の拡散を制限し、阻止することはできる。

われわれは、これまでにかなりの成功を収めてきた。180を超える国が核兵器を持たないことを約束している。過去40 年間を見ると、核兵器計画を断念した、あるいは放棄せざるを得なくなった国のほうが、核兵器を取得した国よりも多い。

しかし、われわれは、別の国家またはテロリストがこれらの恐ろしく破壊的な兵器を手に入れた場合、その結果は深刻なものになること、そして私たちは 警戒を緩めることができないことを知っている。だからこそ、オバマ政権は、核不拡散、核安全保障および軍備管理を、国家安全保障における最優先課題と位置 づけているのである。

参照:チェコ共和国プラハのフラチャニ広場におけるオバマ大統領の演説
国連安保理決議第1887号

 


出典:eJournal “A World Free of Nuclear Weapons”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

« CONTENTS LIST

Obama’s Commitment

Obama’s Commitment
Ellen O. Tauscher, Under Secretary of State for Arms Control and International Security
Other people have talked about achieving a world without nuclear weapons. President Obama is trying to make it happen.