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21世紀の農業 – 水たまりから魚を

水たまりから魚を

2005年「世界食糧賞」受賞者

どこの農民も、数千年にわたって同じ問題に直面してきた。農民には、土地と、地面から作物を生じさせるための雨が必要なのだ。

M・ビジャヤ・グプタは2005年の世界食糧賞に輝いた。遠い昔から続いてきたその問題に、1つの新しい解決策をもたらしたことが受賞理由である。 南アジアや東南アジアの人々に、放置されたままの池、道端の溝その他の使用されていない水たまりから、ある作物を収穫する方法を教えたのである。雑草、動 物の糞、米ぬかなど、農業の廃棄物とみなされてきたものをリサイクルし、魚という作物を育てる餌として使う方法である。

このインド人科学者から受けた教えで、100万以上の貧しい世帯が食事に含まれるタンパク質とミネラルを増やすことができた。そして健康が増進し、寿命が延びたのである。

「青の革命」のリーダーと呼ばれるグプタは、貧しい世帯に、小さな水たまりを、食用の魚を作る「ミニ工場」に換える方法を教えた。グプタと、支援者 としてグプタが手を組んだ団体は、貧しい人々に水産養殖技術を教え、魚を育てる研修を行って収穫を増やし、世帯収入の増大を実現した。1960年代に「イ ンド農業研究協議会」で始まったグプタの取り組みは、その後何十年という時間の経過の中で、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアなどの諸国へと広がっていった。

wwwj-ejournals-agriculture3a南アジアの村で、住民に水産養殖技術を指導するM・ビジャヤ・グプタ博士(中央)(Courtesy of the World Food Prize Foundation)

バングラデシュだけでも、養殖魚の収穫量は、養殖面積1ヘクタールあたり304kgから5,000kg以上に増加した。グプタの祖国インドでは、グプタの水産養殖技術により、収穫量は20倍にもなった。

グプタの取り組みは、収穫量だけでなく持続可能性も重視してきた。「水産養殖における遺伝学の国際ネットワーク」を取りまとめて、生物多様性維持への支援を呼びかけ、約300人のアジア人科学者を対象に、持続可能な生産技術の開発のための研修を実施した。

世界食糧賞の表彰状は、「グプタ博士はこれまでの人生を通じて、水産養殖の全世界的な普及と効率性向上の触媒となってきた」と述べている。

グプタはこれまで、世界銀行、アジア開発銀行、米国国際開発庁、国連開発計画、国連食糧農業機関など、数多くの組織や機関のコンサルタントを務めて きた。国際水産資源管理センターの元事務局長補でもあるグプタは、今なお同センターの上級研究員として、漁業と水産養殖の改良を通じた貧困・飢餓の削減に 打ち込んでいる。

 


出典:eJournal “21st-Century Agriculture”
*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

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