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アメリカの今を知る:『ハリウッド映画は米国の生活を正確に描いているのですか』

ロバート・エイゼル

映画「エリン・ブロコビッチ」では、ジュリア・ロバーツ演じる主人公エリン・ブロコビッチが、労働者階級のシングルマザーから、工業廃棄物に毒された町のために立ち上がる勇敢な活動家へと成長していく。「アニー・ホール」では、ダイアン・キートン扮する悩み多い、しかし有能なニューヨーカー、アニー・ホール

ボブ・エイゼルによると、実話に基づく映画であってもフィクションであっても、ハリウッド映画は米国における体験の複合体である。

ボブ・エイゼルによると、実話に基づく映画であってもフィクションであっても、ハリウッド映画は米国における体験の複合体である。

が、ウッディ・アレンの恋人として、またミューズとして、彼を喜ばせたり悩ませたりする。エリン・ブロコビッチは実在で、アニー・ホールは架空の人物であるが、いずれも私たちが実生活ではめったに出会うことのないような女性である。そして、いずれも典型的な米国女性ではないが、同時に骨の髄まで米国人である。

従来、ハリウッド映画は、神話化されたと言ってもいいほど誇張された現実を描いてきた。米国の映画産業が今も世界で最も大きな利益を上げているのはそのためである。その目的は常に娯楽なのである。ハリウッド映画はショービジネスであり、芸術ではない。

「エリン・ブロコビッチ」は、エリンの劇的な変身を描くために作られたのであり、彼女の探求の倫理性を描いたものではない。ニューヨークの映像作家ウッディ・アレンは、アニー・ホールという1人の米国女性を創造したが、マンハッタンの街角で実際に彼女のような女性に出会うことはまずないと思われる。エリンとアニーは、1人は実在の女性に基づき、もう1人は想像の産物という違いはあるが、2人とも普通の女性ではないという共通点がある。それにも関わらず、2人とも米国という糸から紡ぎ出された存在である。この2つの映画は、いずれも米国の日常生活を反映したものではないが、米国の生活の心を反映している。

ハリウッド映画が米国の日常生活の実態を描くことはほとんどない。それは通常、ドキュメンタリー映画の役割である。しかし、米国ではドキュメンタリー映画でさえも、政治的なユーモアに満ちた「シッコ」「レリギュラス」「スーパーサイズ・ミー」 のように娯楽化している。これらの映画は啓発を目指しており、ハリウッド映画にもそういう作品が多い。例えば、月への飛行中に不運に見舞われた3人の宇宙飛行士の苦闘を描いた「アポロ13」は、乗組員と地上のNASA職員の創意と回復力に焦点を当てることによって、米国の創造の精神を称賛した。そこでは、神話的とも言える方法で真実が明らかにされるのである。

アカデミー賞を受賞した「クラッシュ」のように、非常に気骨のあるハリウッド映画でさえも、娯楽性を目指している。「クラッシュ」の場合には、それが驚くほどの偶然と暴力の脅威という形で表れている。しかし、この映画は米国の生活を真に反映しているのだろうか。今日の米国には、様々な人種から成る家庭が何百万もある。住宅における入居差別は40年以上前から法律で禁止されており、異なる人種の人たちが隣人として平和に暮らしている。しかし一方で、1992年のロサンゼルスの人種暴動は、米国の記憶として残っているのである。

実話に基づく映画「ザ・グレート・ディベーターズ 」の封切後、その実話の舞台であるテキサス州マーシャル市のワイリー大学では、ディベート・チームが復活した。

実話に基づく映画「ザ・グレート・ディベーターズ 」の封切後、その実話の舞台であるテキサス州マーシャル市のワイリー大学では、ディベート・チームが復活した。

ハリウッドは、「ゴッドファーザー」から「アメリカン・ビューティー」まで、さまざまな映画で米国の家族を描いてきた。この2つの映画は、いずれも家族の危機を描いたものであるが、米国の日常生活を表したものではない。しかしながら、いずれも米国の精神に深く切り込んだ作品である。「ゴッドファーザー」の魅力は、強い、しかし道徳観念の欠如した父親像にある。それは意気消沈した家族が父親の保護に対して抱くあこがれを表している。「アメリカン・ビューティー」で描かれているのは、これとは別のあこがれであり、「アメリカン・ドリーム」が画一性に変化してしまう可能性である。この映画は、意味を見出すことを求める米国人の衝動を描いたものであり、こうした衝動は、1世紀も前のソロー[訳注: ヘンリー・D・ソロー (1817-62)。思想家、著述家。]やホイットマン[訳注: ウォルト・ホイットマン (1819-92)。詩人 ]の文章にも見ることができる。

皮肉なことに、ハリウッドのアニメーション映画の方が、実写映画より、米国の体験を明確に描き出していることがある。例えば、アニメ映画「カールじいさんの空飛ぶ家」は、死、喪失、そして老人問題という現実を取り上げている。 

ハリウッド映画は米国の生活を正確に描いているのか。日常の現実を正確に描いてはいないかもしれないが、米国の生活の精神を反映していることは確かである。ハリウッド映画は、米国の不安、想像力、そしてあこがれを描いているのである。

ボブ・エイゼルは、2007年に封切られたデンゼル・ワシントン主演の「ザ・グレート・ディベーターズ 」の脚本家。この映画はゴールデン・グローブ賞の最優秀映画作品賞候補になった。また、ESPN [訳注:スポーツ専門チャンネル] のテレビ映画「3 – デイル・アーンハート物語」の脚本を書き、「ショータイム」のテレビシリーズ「リザレクション・ブルバード」の制作責任者を務めた。3回にわたり全米脚本家組合賞候補になっている。

 


 

出典: You Asked: Do Hollywood Films Truly Reflect Life in America? 

 *上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

 

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